景気減速やスマホ普及に翻弄されるキヤノン
キヤノンが従来もくろんでいた増収増益計画は、頓挫することになりそうだ。
キヤノンは10月25日、2012年12月期の業績見通しを3兆5320億円(前期比0.7%減)、営業利益3560億円(同5.8%減)に見直したと発表した。増収増益を見込んでいた従来計画から比べて、売上高1580億円、営業利益340億円の下方修正だ。今期は2期連続の減収減益となる見通しだ。東洋経済はキヤノンの修正値を妥当と判断。最新予想を下表のとおりに見直した。
25日の会見でキヤノンの田中稔三副社長は、従来計画から営業利益を340億円引き下げた要因について、「為替の影響が90億円、数量減によるものが530億円。一方で、経費削減、コストダウン、値下げの抑制などの努力による290億円のプラスがあり、これを差し引きしたもの」と述べた。
今期はもともと欧州景気の低迷によりレーザープリンタの不振を想定。それをデジタルカメラの大幅増で補うシナリオだった。
目算が狂ったのは円高で推移した為替相場の動向に加えて、デジカメの拡販が想定ほどは進まないことだ。キヤノンは当初、レンズ交換式(一眼レフ、ミラーレス)デジカメの販売計画を920万台、コンパクトデジカメを2100万台と想定していた。
ところが、世界的な景気減速に加えて、高機能なカメラが付いたスマートフォンの普及、反日感情の高まりを背景にした中国における日本製品の不買運動などの悪要因が重なり、レンズ交換式の販売計画は880万台(前年比では22.2%増)、コンパクトは1900万台(前年比1.6%増)までそれぞれ引き下げた。
高水準な利益が見込まれるものの、キヤノンの今期は前期に続いて停滞することになる。
(島 大輔 =東洋経済オンライン)
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