「欲しい気持ち」を押し流す、口コミの不都合

大量の情報が買い物をどんどん億劫にする

調査の中でわかったことだが、この欲求の「流去」「高まり」のポイント、実は商品カテゴリーごとに傾向が変わってくる。ここからは、その中でも特に興味深い商品カテゴリーを見ていこう。

まずはお茶や炭酸飲料などの清涼飲料水。このカテゴリーは、欲求の「高まり」も「流去」も「購入検討時」が最も多い。そもそも飲料を買うために入念に「情報探索」をすることは考えにくいが、「購入検討時」つまり店頭においては、連載の1回目で触れたように、飲料の買い物で目に入る商品数が1回当たり約80個と大量だ。同じブランドでフレーバー違いの商品も多く、ブランドが異なる類似商品も大量に存在する。

このチャンスロスをなくすために重要なのは、この商品が「今の気分にピッタリ合う!」と確信してもらえるような、わかりやすい情報発信に徹することだろう。たとえば、2014年に私たちが行ったコンビニでのトクホ飲料購入のアイトラッキング調査(目線を記録する調査)でも「脂肪対策」などの、ついつい手が伸びてしまうフレーズを店頭でシンプルに表現できている商品ほど注目され、よく売れることがわかっている。

店頭に行く前に多くの情報が入ってくる場合は?

次に、アパレル・ファッション・宝飾品について見てみたい。このカテゴリーの特徴は、「欲しいと思った直後」と「購入検討時」において、欲求の「高まり」と「流去」がほぼ同じ割合で起きるということだ。

思えばかつて、洋服やアクセサリーの買い物といえば店舗での出会いや試着、店員との会話がきっかけになる「一期一会型」の買い物だった。だが今や、人気モデルや芸能人はもちろん、一般人もフェイスブックやインスタグラムなどでファッション情報を拡散するようになり、店舗に行く前に多くの情報が入ってくるようになった。

このような時代、情報に接して「欲しいと思った直後」に気持ちを逃さず店頭へ誘い込むことが重要になる。アパレルはすでにECでの買い物が進んでいる分野だが、さらなる誘引対策が求められるだろう。

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