成長は不変、通貨統合はじっくりと バーレーンの挑戦
--現在、世界的にも食料品価格の高騰が懸念されています。影響が出ませんか?
もちろん懸念はしている。ただ、食品価格のボラティリティが国民に直接影響を与えないように、ここ数年は生活必需品とされるものについては政府が助成金を提供している。
共通通貨導入にはユーロを教訓にする
--GCCによる共通通貨計画はUAEとオマーンが離脱を表明しています。現在、通貨統合に向けた進捗状況は。
バーレーン、サウジアラビア、カタール、クウェートの4ヵ国で通貨同盟を展開することを考えており、2010年に条約を締結した。現在は通貨同盟の審議会を設置し、各国の代表が話し合いをしている。バーレーンが議長国で現在、私が審議会の議長だ。節目は同盟の中央銀行を設立すること。それを設立した暁には統一通貨を展開する。
--新しい中央銀行設立のメドは?
特に(具体的な)スケジュールはない。今はあらゆる基本的な要件の洗い出し中だ。通貨同盟を確立する以上、持続性のある形で展開しなければならない。そのためにどんなことが必要なのかを精査し、ひとつひとつのブロックを積み上げていく。
--通貨同盟としてのユーロの危機をどう見ていますか。
ユーロ圏で起きているさまざまな展開は大きな教訓になる。だからこそ細かいところまで詰めに詰めたうえで、機能し活用できる通貨統合をめざしたい。あまり焦らず、じっくりと構えて展開していくつもりだ。ユーロ圏で起きている事象をすべて吸収し、それをわれわれの単一通貨にどう反映するかを熟慮していく。
--ユーロから得られる具体的な教訓とは?
財政政策をより強化する必要性があるということ。また、銀行業の規制、監督業も各地域ではなく何らかの一元化した形の監督が必要ではないかと考えている。さらには就労条件や生産性の足並みをそろえられる手法も求められるだろう。また、政治的な側面でも摺り合わせや整合性が重要で、全体として調和のとれた効果的なメカニズムが必要だと考えている。それがあるからこそ透明性の高い意思決定ができる。