清水建設が「投資開発事業」に力を入れる理由 25年ぶりの最高益でも喜べない?

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相次ぐ都心の再開発や東京五輪に向けた建設ラッシュ、東日本大震災からの復旧・復興工事と、建設業界には今、異例の追い風が吹いている。スーパーゼネコン各社は軒並み好業績の見込みで、清水建設も25年ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。

井上社長のミッションは建設事業と合わせて第2、第3の収益柱を育てることだ(撮影:今井康一)

こうした状況で井上社長が重視するのは、本業である建設事業の足場を固めつつ、第二、第三の経営の柱を強化すること。その筆頭に掲げるのが、オフィスビルなどの不動産を中心とした投資開発事業だ。

オフィスビルや物流施設を中心に収益が見込める案件を開発し、一定の稼働状況になったタイミングで第三者に売り払う、という回転型のビジネスモデルだ。売却時期はケースバイケース。オフィスビルの場合、3~5年程度でテナントが入った段階が目安だが、長期で保有することもある。

井上社長は「われわれは建設部門を持つデベロッパーでもある。その強みを生かして高付加価値があるものを低価格でつくり、収益性を上げる。そこに競争力をつけていきたい」と強調する。

スーパーゼネコンは、数年先を見据えた総力戦

2015年3月期の連結業績では、建設事業の営業利益が477億円だったのに対し、投資開発事業の利益は58億円。井上社長は「だいぶ収益に貢献するようになったので、この幹は太くしていきたい」とさらなる拡大を狙う。ただ、開発事業はゼネコンにとって「お客様」でもあるデベロッパーの市場。「ケンカしない程度に共存させていただく」(井上社長)。

競合他社も東京五輪以降の案件縮小を見越し、建設部門以外での新規ビジネスの開拓に余念がない。大林組は太陽光や風力、地熱など再生可能エネルギーの発電事業を推進、準大手の前田建設工業もコンセッション事業(仙台空港など公共インフラの運営を民間が担う形)に乗り出した。

好決算の裏で忍び寄る国内建設市場の縮小に、どう立ち向かうのか。バブル期以来の過去最高益が続出する傍らで、建設業界では次の一手に向けた総力戦が続きそうだ。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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