清水建設が「投資開発事業」に力を入れる理由 25年ぶりの最高益でも喜べない?
JR横浜駅から徒歩7分、みなとみらい線新高島駅の真上に広がる一等地。清水建設はここに、自らが設計・管理運営を手掛ける大規模賃貸オフィスビルを建設する。地上18階建ての免震構造で、延床面積は約10万平方メートル。投資額は550億円に上り、2019年度中の完成を目指す。同社では過去最大規模の開発案件だ。
みなとみらい地区一帯は市が開発事業者の募集を進めている。都心と比べると利便性は若干劣るが、賃料相場は比較的手頃で、進出企業に対するオフィス賃借料の助成制度など、行政の後押しも充実している。羽田空港へのアクセスも良好で、4月に就任した井上和幸新社長は「ポテンシャルがあるエリア」と太鼓判を押す。
開発するビルは、災害対策も万全だ。72時間分の燃料を備蓄する非常用発電装置などを備えた。施設の一部を開放して帰宅困難者を受け入れるほか、広場や託児施設も設ける予定だ。安全・安心を売りにしつつも、無駄なコストはそぎ落とす方針で、耐震性能や非常時の事業継続性、省エネに対する意識が高まっている企業のニーズを取り込む。
最高益でも、建設以外に力を入れる理由
清水建設は2年前、みなとみらいで「横浜アイマークプレイス」(地上14階建て、投資額約300億円)を開発。最先端の省エネシステムや耐震機能など、ゼネコンならではの技術を存分に取り入れたビルだった。稼働状況は良好で、IT企業や外資系企業などでテナントがほぼ埋まった状態だ。
今回のプロジェクトは同エリアにおける2件目の開発案件。黒澤達也投資開発本部長も「このスペックでの手応えはつかんでいるので、さらにコンセプトを飛躍させて、企業の幅広いニーズに応えていきたい」と自信を見せる。
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