「スーパー北斗」は北海道の窮地を救えるか 北海道新幹線開業で在来線ダイヤも変化

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このダイヤ変更は2013年11月に実施され、「スーパー北斗」が2往復削減の5往復となった。すなわち、各種の事故や不具合で体制が崩れる中、函館―札幌間特急の“定期”列車は5往復だけとなり、しばらくの間は「臨時北斗」最大4往復の補完でしのぐという厳しい状況に陥った。

その後、183系事故の原因究明と対策工事が進められた結果、翌2014年8月に定期「北斗」4往復は再開された。しかし「スーパー北斗」は2往復が減っているので完全に旧に復することはなく、それで合計9往復だったのである。したがって今回の12往復化は、本来と言える2013年以前のダイヤと比較すると、都合1往復の増強である。

そして今般、新幹線開業に向けて輸送力不足を根本的に解消するために措置されたのが、「スーパー北斗」への261系1000代の新造投入である。261系1000代は、2007年から「スーパーとかち」に導入されていたが、函館方面の運転は初めてだ。

「スーパー北斗」の所要時間に変化

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1号車グリーン車の客室(撮影:久保田敦)

ところで、「スーパー北斗」の所要時間にも大きな変化が起きている。

281系振子式気動車による「スーパー北斗」の運転開始は1994年3月。そのとき札幌―旭川間に次ぐ130km/h化も行われ、良好な線形でトップスピードを維持し続ける運転操縦と、途中停車駅を東室蘭、苫小牧(下りのみ)だけに絞ることで、最速達列車の2・15号は3時間の壁を破る2時間59分運転を実現した。従来の最短時分を30分短縮した。

航空路線の発達や道南への高速道路の延伸が目に見えていた時期、在来線鉄道が対抗するにはスピードアップが不可欠だった。札幌―函館間2時間59分は衝撃以外の何ものでもなく、気動車列車の常識を覆す表定速度106.8km/hは在来線列車のトップとなった。南千歳停車を加えてなお、この最速時分は維持され、新札幌停車を加えた2000年3月時点で3時間運転となった。

だが、こうした過酷な運転での無理が近年の事故や故障となって露呈した。2013年11月まで続いていた3時間運転は、同改正で120km/hへの引き下げと、列車削減に伴う停車駅の増加により最速3時間28分となった。

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