日本初のシェールオイル採取--現地ルポ

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とはいえ、資源小国で石油の自給率も0.4%にとどまる日本にとり、新たな資源開発の可能性が広がったことは画期的な前進とも言える。秋田県外、他社鉱区における開発の呼び水にもなりうる。日本近海の海底には、国内の天然ガス消費量の約100年分に相当する新型天然ガス「メタンハイドレート」が埋蔵されているとの推計もあり、JOGMECと石油資源開発が今年2月から愛知県沖において世界初となる海洋産出試験に着手している。

また、秋田から島根の日本海沿岸10府県は10月3日、メタンハイドレートの日本海側での開発を求める要望書を経済産業省資源エネルギー庁に提出している。新エネルギーへの国民的関心が高まれば、こうした資源開発やパイプラインなどインフラ整備に弾みがつくかもしれない。

一方で、資源開発には環境に与える影響への配慮が欠かせない。シェールオイル採掘でも、生産性を上げるために用いる塩酸など化学物質が地下水汚染の原因ともなり、万全の産廃処理が絶対条件となる。シェールガスを含めて商業生産が本格化している米国では、水圧破砕による小規模地震の発生もリスクとして指摘されている。

石油資源開発の山岸技術部長は、「フラクチャリング(水圧破砕法)になると、米国では(小規模地震など)よくない事例もあるが、仮に開発を進める場合でも、そういう心配がないように、既存のガイドラインなども参考にしながら万全を期して作業を進めていく。必要に応じて地元住民への説明も行っていく」と話す。

日本は今、東日本大震災による原子力発電所事故の影響により電力不足に直面し、代替燃料として輸入を拡大している天然ガスや石油の価格高騰により貿易赤字にも転落している。エネルギー戦略、エネルギー安全保障の重要なカギは「多様性」と言われるが、輸入化石燃料への依存度を一段と高めている日本はその多様性を低下させている。

代替資源としての再生可能エネルギーやシェールオイル、メタンハイドレートなど非在来型資源は本格的な開発に多大な時間とコストを要する。しかし、世界最先端の技術を磨いていくことで効率性を高めていければ、国内外での自前資源獲得への可能性は膨らむ。資源エネルギー危機に高い耐性を持つ国家体制づくりへ向け、官民挙げての積極的取り組みが求められている。

(中村 稔 =東洋経済オンライン)

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