日本初のシェールオイル採取--現地ルポ
シェールオイルとは、頁岩(けつがん、英語でシェール)と呼ばれる細粒な泥質岩に含まれる石油。同じ頁岩層にある天然は「シェールガス」と言う。シェールオイルやシェールガスは、埋蔵量は豊富だが、在来型の石油や天然ガスのように地層の間に貯留しているわけではなく、固い岩石の中に閉じ込められた形で存在するため、パイプで掘削しても自噴しない。そのため技術面、採算面で採掘が難しいとされてきた。
しかし近年、水平坑井掘削・水圧破砕といった採掘技術が米国主導で進み、原油価格上昇でコスト面でも採算が合う状況になってきたため、埋蔵量の豊富な米国(国内年間消費量の約100年分とも)では生産が本格化、米国内の天然ガス価格が日欧に比べ大幅に下がり(日本の約6分の1)、産業競争力向上の期待が高まるなど、「シェール革命」とも呼ばれるブームに沸いている(国際エネルギー機関では、シェール層の岩石を採鉱後に人工的に加熱・分解処理(乾留)したものをシェールオイルと呼び、地下のシェール層で石油として存在しているものは「タイトオイル」と呼んで区別している)。
日本は比較的地層が新しいためシェールオイルやシェールガスの埋蔵量が少なく、採算的に採掘対象となる油ガス田に乏しいと見られてきた。ただ石油資源開発では、秋田県の「女川(おんながわ)層」と呼ばれるシェール層が、米国で大規模なシェールオイルの開発が進んでいるカリフォルニア州のモントレー層と似ていることに着目、モントレー層の開発で使われている技術を女川層で試すことになった。
同社は2012年3月から、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の支援を受けて調査研究に着手、12年度は鮎川油ガス田などの既存坑井を対象とした坑井刺激(酸処理テスト)の結果解析と総合評価、さらに秋田県全域における女川層のポテンシャル評価を主目的に実証試験を行っている。