「52席の至福」のデザインについて語る隈研吾氏(撮影:風間仁一郎)
「食堂車はどんなレストランよりもぜいたくな体験を与えてくれる」。ヨーロッパを鉄道で移動する際、たびたび食堂車を利用するという隈氏はこう語る。「日本でも食堂車は特別感のある、わくわくするものだった。そういったものが消えてしまった感じがしていたので、依頼を受けた時は『自分の欲しかったものがやっとできる』と感じた」という。
「52席の至福」のデザインには、その「特別感」を生み出す工夫が随所に凝らされている。木材を活かしたデザインには隈氏の建築と共通したイメージが感じられるが、それだけではない。実は「子どもの頃は床や座席に木を使った電車が走っていて、乗るとわくわくした」という郷愁が反映されているという。「昔の電車は座席にも木が使ってあったし、そういう電車の中に入ると、ある種タイムスリップする感じがあった。それをもう一回取り戻したいと思った」と隈氏は語る。
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