ホームセンターDCM、ケーヨー買収の狙い 業界の再編がますます加速

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縮小

DCMでは、グループ他社で展開する品ぞろえや店舗運営を導入することで、採算が悪いケーヨーの立て直しを図る考えだ。具体的には、グループ一体での仕入れにより仕入れ価格の引き下げを進め、DCMブランドのPB商品を拡大して、粗利率を引き上げる。店づくりも、DCMで導入している標準の棚割フォーマットを活用することで、投資コストの引き下げを進める。

ケーヨー側の改善だけでなく、むしろ重要なことは、DCM自身が、統合でどれだけ収益性を改善できるかだろう。実のところ、DCM自身、3社が統合して10年経つが、利益水準はほぼ横ばいで、目立ったシナジー効果を上げられていない。昨年まで、マーケティングや仕入れなど中核業務を、各事業会社(旧3社)がそれまで通り別々に行うなど、シナジーを追求できる体制ではなかった。屋号も、昨年3月にようやく、統一ブランドの「DCM」をそれぞれの屋号の頭に付けることができたほど。

10年を経て持ち株会社体制が整ってきたことから、グループ再拡大に乗り出したわけだが、シナジー効果が出せるかどうかは、はっきりしない。

市場の頭打ちと世代交代が背景に

DCMのみならず、ホームセンター業界では今後も再編が進みそうだ。ホームセンター業界は、ここ10年ほど年間4兆円弱の市場規模が続き、完全に頭打ち。今後は、人口の減少で縮小が見込まれる。また、ドラッグストアなど異業態との競合もますます進むことが予想される。こうした中、各社は、既存店のマイナスを新規出店で補う構図を続けてきたが、それも限界が見えている。市場が縮小し、出店余地も限られる中では、M&Aによるシェア拡大がもっとも合理的な選択肢だ。

また、約40年前に誕生したホームセンター業態は、創業世代が相続する時期を迎え、事業承継問題に直面している。非上場を中心に身売り話も多い。上場中堅クラスでも、福島地盤のダイユーエイトと岡山地盤のリックコーポレーションが、業務提携関係をさらに進めて9月に合併するなど、動きが出始めた。

一国一城のオーナー企業が中心で、なかなか再編が進まないと言われてきたホームセンター業界だが、市場の縮小に世代交代もあいまって、その状況も変わってきそうだ。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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