JAL上場後も続く公正競争論の裏側
何ともすっきりしない上場だ。
9月19日、過去最速となる日本航空(JAL)の再上場が実現した。2010年1月の会社更生法申請から2年8カ月。破綻から再上場までかかった期間としては、これまで最短だったヤオハンジャパン(現マックスバリュ東海)の6年10カ月を大幅に塗り替えた。公的資金3500億円を注入した企業再生支援機構も2倍弱のリターンを得てJAL支援を完了した。
上場後の記者会見で、機構の瀬谷俊雄社長は「これほどの上場益が出るとは思わなかった。史上まれに見る企業再建の成功例」と胸を張り、JALの稲盛和夫名誉会長も「何とか再建したいという一心でやってきたが、この時を迎えられて感無量だ」と目を細めた。
一方、喜べないのがライバルの全日本空輸(ANA)や、民主党政権の手柄を快く思わない自民党だ。公的支援でV字回復を果たしたJALの利益は今やANAの2倍。ANAと自民党は今後の公正競争担保のために、JALの繰越欠損金による法人税免除(推計総額4000億円)の廃止に加え、設備投資やシェア拡大に足かせをはめるガイドライン作りを政府に要求している。
これに対し、稲盛名誉会長は「(リストラなど自助努力をした)JALの財務内容がよくなったから不公平だと言う人がいるが、そのほうがよほどアンフェアではないか」と上場会見後、不満をあらわにした。
かくも批判合戦の応酬は一向にかみ合わない。なぜ、これほどまでにこじれてしまったのだろうか。
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