日本精工など出資の財団が、日本では珍しい高専への助成を開始

〔樋口〕国から大学や高専に支給される運営費交付金は、近年、毎年約1%ずつ減額されている。大学は外部から科研費(日本学術振興会による科学研究費補助金)などを獲得して運営経費に充当しているが、高専はこのような外部資金を獲得することが難しい。また、大学でも、(外部資金の獲得しにくい)実験や実習の講座数が減っている。中でも工学教育は、実験機材などおカネがかかる分野であるため、危機的な状況だ。基礎的な教育に、もっと力を入れてほしいと考えている。

--諸外国と比較して、日本の高等教育にはどのような特徴があるか?

〔下河邉〕たとえば、アメリカの大学は寄付金が潤沢だ。研究活動のための寄付だけでなく、教育活動のための寄付もある。教育熱心だという印象をもっている。

〔樋口〕研究活動に取り組む教員だけでなく、学生の教育を専門とする教員が在籍していることも特徴だ。日本とアメリカは、(基礎的な)教育という面でみると、大きな差があると思う。

〔下河邉〕だからこそ、高専への助成事業では、シラバスに掲載された正規の授業を助成対象とし、「ロボコン(ロボットコンテスト)」のような課外活動は対象外とした。課外活動ではなく授業として、しっかり学んでほしい。助成をきっかけに、模範的な授業プログラムを考えてもらい、それを参考にして、全国に良い授業が広まっていくことを期待している。

--近年は、機械工学に関心を持つ学生が減っているとの声もある。

〔下河邉〕機械工学はロボットや自動車と関連が深く、興味を持つ学生は多い。ただ、工学系全体として落ち込んできている印象はある。

〔樋口〕理系の中では、医療やバイオ分野に関心をもつ学生が増えている。研究費が豊富で、教員の数も多い。だが、メカトロ産業は、10年後、20年後も外貨を稼ぐ重要な産業だ。学生が卒業した後の就職先としても、大きな受け皿になっている。産業に役立つ人材の育成が大学の出発点だ。(大学は)教育の原点に戻らねばならないと感じる。

(小河眞与 撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)

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