【産業天気図・工作機械】豊富な受注残の消化で前半は「晴れ」だが、外需の伸び一服で後半「曇り」へ下向く
12年4月~12年9月 | 12年10月~13年3月 |
工作機械業界の12年度は、2012年4~9月(前半)が「晴れ」、12年10月~13年3月(後半)が「曇り」となりそうだ。リーマンショック以降、市場回復を牽引役してきた外需の伸びが一服。タイ洪水の復興特需も剥落し、景況感には陰りが見え始めている。
日本工作機械工業会(日工会)の発表によると、12年1月から7月までの累計受注額は前年同期比5.8%減の7421億円だった。内外需別では、内需が2320億円(前年同期比4.8%減)、外需が5100億円(同6.2%減)。全体の7割前後を占める外需の落ち込みが大きく、今年1月以降、7カ月連続の前年割れを続けている。
地域別では、「北米向け」が、自動車向けやエネルギー向けを中心に受注を確保し、1318億円(前年同期比2.8%増)。一方、「欧州向け」は、債務問題を契機とした景気減速の影響を受け、686億円(同25.6%減)と大幅に落ち込んだ。「アジア向け」も、3011億円(同3.4%減)と減少幅こそ小さいものの、2ケタ増を続けていた前年に比べて、確実に成長率が鈍化している。
スマートフォン製造用に使われる小型マシニングセンターや小型旋盤などは好調。だが、これら小型IT機器の製造を担う大手EMSからの受注を獲得しているのは一部の会社のみで、全体を押し上げるほどの効果はない。長引く円高も懸念材料だ。特にユーロについては、1ユーロ=105円を前提に12年度の業績見通しを発表している会社が多く、現状の為替水準が継続すれば、利益は下押しされる。
もっとも、年度前半は豊富な受注残の消化によって、増収増益を達成する会社が大半となる見込み。一方、年度後半から13年にかけては、欧州やアジア向けの景気減速が長期化することで、収益が悪化する可能性が否定できない。
(小河眞与 =東洋経済オンライン)
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