新日石、出光の国内2強動く 激動の石油業界 元売りサバイバル

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新日石、出光の国内2強動く 激動の石油業界 元売りサバイバル

石油元売り業界が暫定税率失効に伴うガソリン値下げの問題で揺れていたさなかの3月後半、生き残りを懸けた業界大手の新たな動きが相次いで表面化した。新日本石油・九州石油の統合と、出光興産のベトナムでの製油所・石油化学プラント建設投資だ。

最大手の新日本石油は10月をメドに九州石油を事実上、吸収合併する。九州石油(非上場)は九州、関東を中心に674カ所で「コウノトリ」を意味する「ストーク」ブランドの給油所を展開。大分県には九州唯一の製油所(原油処理能力は日量約16万バレル)を有している。

出光は三井化学やベトナム・クウェート両国の国営石油会社と組む。出光主導で日量20万バレルと、日本ならば上位級の原油処理能力を有する製油所などの建設にベトナムで乗り出す方針だ。建設費用は約5800億円。出光の投資額は同600億円に達する見通しである。

国内需要が大きく低迷 新日石は製油所廃棄か

両社の決断を後押ししたのは石油製品の国内需要低迷だ。経済産業省の生産動態統計によれば、ガソリンの国内販売は2005年をピークに2年連続で減少。昨年には6000万キロリットルを割り込んだ。07年の原油処理量は約2億3200万キロリットル。1日当たりの需要をはじき出すと400万バレル程度だが、国内製油所の原油処理能力は日量約480万バレルで、全体では設備過剰状態に陥っている。

最近の原油高がこれに追い打ちをかける。指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は1バレル=100ドルを突破したが、川下の給油所などへの価格転嫁が追いつかず石油製品の利幅は縮小。大手各社の同部門の損益は在庫評価益を除いた実質ベースで赤字となり、足を引っ張っている。

08年3月期は新日本石油が280億円の実質経常赤字、出光興産が110億円の営業赤字(経常益ベースは非公表)を見込む。が、08年1~3月期の原油価格は両社の前提水準を上回って推移したため、損失額はさらに膨らむ公算が大きい。

 

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