『弁護士、闘う』を書いた宇都宮健児氏(弁護士)に聞く

『弁護士、闘う』を書いた宇都宮健児氏(弁護士)に聞く

38年、一貫して弱者のために闘い続け、現在は多重債務の背後にある「貧困の解消」に乗り出す。ソフトな語り口ながら、その信条に揺るぎはない。

--いまは多重債務専門の相談センターに弁護士1500人の登録があるそうですね。

弁護士になって38年になる。最初の12年間は苦しかった。弁護士事務所を2回もクビになった。弁護士の中でそんなにクビになる人はいない。「あんたいらない」と言われるのは、いわば全人格を否定されるようなもの。その後、なんとか事務所を持ち、そこでも早々に事務員に辞めたいと言われたときはこたえた。

しかし、大きな事務所に入り、要領がよくて営業能力があって、早く独立できていたら、多分サラ金事件や多重債務問題に出合わなかっただろう。要領が悪くて回り道をしたので、当時誰も手掛けようとしないサラ金事件をやることによって、弁護士としてのやりがいを覚えたし、事務所経営もできるようになった。12年間の下積みの苦労が自分の「肥やし」になったという気がする。

--豊田商事をはじめとした悪徳商法、オウム真理教を相手にした被害者救済など、この本は最近25年の「社会事件史」になっています。

いずれも意図して手掛けたものでない事件が多い。オウムとのかかわりも、私の事務所に坂本堤弁護士の奥さんの都子さんがしばらく勤めていて、子息ができて辞めた翌年に事件が起きた。これは拉致事件であり、坂本一家を救出しなければいけないと活動を始め、犯人の可能性が大きいのはオウム真理教と判断した。

その6年後、地下鉄サリン事件が起こる。情報を総合すると、これもオウムがやった可能性が強い。サリン事件の被害対策弁護団ができたときに団長に担がれた。地下鉄サリン事件を通して坂本弁護士一家救出につながるのではないかとの思いもあった。最終的には坂本弁護士一家3人の遺体が長野と新潟と富山で見つかる。残党といまも交渉は続いているが、本当にショッキングな事件だった。

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