四面楚歌の福田政権、激化する「4月危機」の心理戦
塩田潮
四面楚歌。福田首相は4つの敵に攻め立てられて沈没寸前と映る。
4つの敵とは、小沢民主党、支持率低迷という国民の厳しい視線、霞が関の官僚機構、自民党の批判勢力だ。
官僚との連携型の福田首相は、安倍前首相とは違って、最初は霞が関とは蜜月だった。「官僚主導体制の復活」と見た人も多かった。確かに日銀総裁人事で財務省寄り、道路財源問題で国土交通省寄りの姿勢を堅持してきた。だが、支持率回復を狙って公務員制度改革で内閣人事庁新設に向けて舵を切ったあたりから、霞が関も敵に回り始めた。各省庁が「絶対死守」の自己完結型官僚人事に切り込めば、霞が関は牙を剥く。日銀総裁問題も道路財源問題も霞が関のコントロールという印象が強いが、実際は政権弱体化で人事権死守をもくろむ省益優先の霞が関が無理強いして足を引っ張っているという指摘もある。
周りは敵だらけなのに、福田首相はここまで押しの一手、忍の一字の一本槍だ。もともと慎重居士の頑固一徹タイプと聞いてはいたが、これほど政治性と戦略的発想が乏しいとは知らなかった。大業は皆無、待てば海路の日和りありの「待ちの政治家」である。いずれ4つの敵は腰砕けになると見て持久戦を決め込む。民主党は自滅、支持率もやがて反転、霞が関とは折り合いをつけて手打ち、自民党には倒閣のエネルギーなしとタカをくくっているのだろう。
だが、不満と失望のマグマが限界点に達すると、4つの敵がいっせいに銃を撃ち始める可能性がある。政局は4月危機説が渦巻く中で、限界点の見極めをめぐる心理戦が続く展開だが、ここが限界と首相自身が覚ったとき、不慣れな大業を初めて繰り出すかどうか。反対にさっさと投げ出すかもしれない。
官房長官電撃辞任も、確か4年前の5月連休明けの出来事だった。
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