【産業天気図・証券業】株価急回復受け最悪期脱すがリスク残る。注目は独立系とメガバンク系の主導権争い

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予想天気
  09年10月~10年3月    10年4月~9月
 

夜中に降り続いた激しい雷雨は朝方にかけて止み、夜明けを迎えたものの、また雨が降り出すかもしれないと思えるほどに曇っている--。

足元の証券業の収益環境を天気になぞらえれば、こんな感じだ。昨秋以降、大暴落した株価が今春に底入れしたのを背景に、証券業界には明るさが見えてきた。ただ、景気の再悪化懸念など、依然としてリスクは残る。証券業の2009年度後半の天気見通しは「曇り」として、前回(今年6月)予想を踏襲する。10年度前半についても「曇り」を予想する。

証券業を主体とする上場各社の09年4~6月期(第1四半期)決算は、米国会計基準の野村ホールディングス<8604>とネット専業3社を含む上場20社(対面証券営業の撤退により、外国為替証拠金取引が収益柱となったインヴァスト証券<8709>は今回から集計対象外)のうち、全社が営業損益段階で増益もしくは赤字幅を縮めた(野村は税前損益ベースで計算)。営業赤字は3社。17社が営業赤字に陥った09年1~3月期に比べ大幅に減り、黒字復帰が相次いだ。全社合計の営業損益は1~3月期が2822億円の赤字(うち野村の税前赤字が2258億円)だったが、4~6月期は985億円の黒字となった。経常損益の改善幅は3800億円にも上る。

昨秋のリーマンショック以後、大暴落した株価は今年3月に底入れした。各国財政・金融当局による一連の危機対応策が奏功したほか、企業も在庫・雇用調整を積極的に進めるなど、コスト削減に取り組み、収益構造が改善。つれて投資家の投資意欲が持ち直し、日経平均株価は6月に1万円台を一時回復するなど、底値から3カ月あまりで4割以上も上昇した。証券会社が収益源とする株式の委託手数料だけでなく、投資信託の販売手数料のほか、資金調達ニーズの高まりで、株式や債券の引き受け手数料なども上向いた。業績悪化に苦しんだ前期以降進めているコスト削減策も奏功して、業績急改善につながった。

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