私は家族の食を疎かにする主婦(または主夫)は、あまり好きではありません。これまでに何度も繰り返してきたことですが、その日の気候や家族の体調や機嫌、前日までに食べた食事内容などを考えて、家族の喜ぶ顔がみたくて心を込めて食卓を整える心遣いのない家庭の食卓は、家族の精神衛生上も大いに問題があることが多いのです。
これは誰もが知っていることなのに、それでもそのことを無視する横着さを、その人に見てしまいます。
非行少年院で、少年たちが非行に走るまでの家庭での食事内容を調査した結果は、昔からたくさんあります。どの調査もジャンクフードで育った少年の割合は高く、孤食の割合も高かったという結果が出ています。その中でも私は、昔の記事にはなりますが、中央公論2000年10月号(郡司和夫氏)の記事が忘れられません。
重犯罪を犯した息子に対し、母親が涙交じりに語った言葉「夕食さえ(自分が用意し)一緒にとっておれば(この事件は起こらなかった)」です。一緒に食事をしないことの弊害を、本能的にこの母親は気づいたのではないでしょうか。この記事には他に、食がエサ化していた事例も出ていて印象に残っています。
家族の食事にあまり心配りをしない育児中の母親(私たちの世代では、イクメンは今以上に見られませんでしたので母親とします)には、心の温かい人は少なかったと断言できます。余程の事情がない限り、工夫や努力しだいで、基本的に親が料理を手作りし、それを家族が囲むのは、難しい問題ではないはずです。
私はなにも、あなたの義妹の子どもさんたちが、非行への道を進んでいるとは申しません。しかし家事が嫌い、料理も嫌い、買い食い大好き人間という性格の義妹との同居は、あなたの心の持ちようでどうにかなるものではありません。あなたが目をつぶれば解決するという問題ではなく、多くのトラブルの芽を抱えてしまうです。
複数世帯同居時の、食べ物の恨みは恐ろしい
二人の子持ちの私の友人が、離婚した義弟の子どもを好意で1年間預かったときのことです。同居する姑は、もちろん、その義弟(姑からみれば下の息子)の子どもが不憫です。子どもたち同士で遊び中に喧嘩しても、その不憫な孫の味方を無条件にし、孫どうしの仲まで本当に悪くしました。
2枚ずつしか作れないトーストやグラタンなどは、あとに出来上がるのを待つ子が順番にくるわけですが、その「不憫な子」が待つ日だと姑は、「罪のない子をイジメた、差をつけた」等と大騒ぎして、もめ事が絶えなかったとか。
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