旅行会社が「スポーツ」に熱視線を送るワケ ヒトもカネも呼べるイベントに成長

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日本イベント産業振興協会の推計では、スポーツイベントの国内市場規模は、2014年で3兆円ほど。JSTAには、旅行会社以外にも、ミズノ、日本航空、電通、フジテレビジョンなどの企業から、日本サッカー協会や地方自治体が会員として名を連ねる。

スポーツがヒトもカネも呼べるイベントに成長

2007年に始まった東京マラソンの大成功を見た自治体も地域振興の切り札として注目している。

イベントを誘致するスポーツコミッションを設立した自治体は30を超えた。中には「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」のように、10万人を超える観戦者を集めるものも出ている。

JSTA会長を務める原田宗彦・早稲田大学スポーツ科学学術院教授は「地域に住む人のためという観点から、スポーツイベントで人を呼び込んで、地域を活性化させようという発想に替わったことが大きい」と指摘する。

スポーツ大会を実施するには、会場や道路の使用許可、宿泊や交通の手配など、多岐にわたる業務をこなす必要がある。大型のイベントを誘致したい自治体にとって、団体旅行のノウハウを持つ旅行会社は欠かせない存在だ。

人手も手間もかかるため、旅行会社にとっても、オンライン予約の低価格攻勢を受けずに済む領域となっている。

2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京五輪、2021年には生涯スポーツの世界大会が関西で開催されるなど、大型イベントが目白押し。指定旅行会社の座をめぐり、受注合戦が続きそうだ。

「週刊東洋経済」2016年3月19日号<14日発売>「核心リポート06」を転載)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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