コロムビアミュージックエンタテインメント取締役名誉相談役・廣瀬禎彦(Part5・最終回)--7時半に出社して仕事は終わらせ、午後は仕事に関係のある外部の人と会い、19時には外へ飲みに行きます
--転職をする人へのアドバイスはありますか。
私はいくつも転職しているとはいえ、IBMには27年いました。十分長いですよね。1つの所でとことん学ぶことは、意味があることだと思っています。どういうキャリアが望ましいかというのはよくわかりませんが、1つの場所でこれ以上やることがないというところまで何かを突き詰めると、自分なりの納得性が出てくると思います。
--長くいたIBMの経験はどう生きていますか。
文化的には、倫理観が強くウソやごまかしをしないということです。ウソはキリスト教では罪、日本では方便、ある世界では美徳とされています。少なくとも西欧型のビジネスの中でウソをつくと問題になりますからね。
もう1つ、ハイテクの世界は勉強しないと置いていかれますから、つねに何かを学ぼうとする意識はいまも生きています。私が知っている優秀な経営者と自分の共通点は、職人的な発想です。経営は経験と同時にスキルがものをいいますから、腕が落ちたら終わりであり、つねにスキルを磨かなければという意識がありますね。
--経営者の能力の1つとして、情報収集力を挙げられています。有効な情報収集の方法を教えてください。
社内では、直接社員と接するのがいちばん早い。聞きたい情報があるであろうところへ出向くことです。呼び出すと、準備された装飾的な情報を持ってくるじゃないですか。外部も同じですよ。私は7時半~8時に出社して、会議が始まる前に自分の仕事は終わらせてしまいます。午後は仕事に関係のある外部の人と会い、19時になると外へ飲みに行ってしまいます。人と会う理由はストレス解消もありますが、情報収集でもあるんです。