新浪剛史・ローソン社長--次の10年で目指すのはイノベーションで1位
われわれは、加盟店の皆さんをリードしなければいけませんから、次の時代のコンビニはこうなるという将来の絵を描いてあげる。それをタウンミーティングなどの場できちんと話す。加盟店は10年の契約ですから、次の10年も大丈夫だということを見せないとダメです。短期政策も重要だけど、中長期の夢がないと。
僕はあと10年は社長をやるつもりです。だから、10年後にローソンはイノベーションで1位になっていると思いますよ。店舗数ではない。それぞれの町でいちばんいいコンビニであるためのイノベーションです。
--今期も出店純増数は100以下と抑えています。
その代わり、スクラップ&ビルド、店舗の置き換えには力を入れている。これは加盟店にとってもうれしい話だから。投資額は1軒当たり6000万円。チャージ以上のものを投資してあげるんです。でもこれは、頑張ってくれている加盟店でないとできません。しっかりと仕事ができないオーナーは、場所を変えてもダメですから。
だから店の評価はきちんとやる。全店に対して、ミステリーショッパー(覆面調査員)が半年に一度、付近の競合店と合わせて、店内環境から接客まですべて細かいところまでチェックして、客観的な評価を行っています。そのときだけではなく、2~3年のスパンで見ますから、売り上げを改善しようとコツコツ頑張っている店は高く評価する。そういう店はやっぱり収益もいい。指導しても改善しなかったり、立地がいいというだけで売り上げを上げてきた店は評価していません。
競合環境が厳しくなる中では、既存店のすぐ近くに出店して地域の占有率を高める必要も出てきます。その際も、頑張っている店には、複数店経営してもらったり、補助を出したりする。逆に、頑張らない店の近くだったら構わず出店します。
そうやって濃淡ははっきりとつける。僕はこれが本当の意味での公平だと思っている。公平の理論というのはもう変わったんです。頑張っていないオーナーは、お客様を裏切っているということ。まずはお客様に向き合ってくれないと。だから、ミステリーショッパーにわれわれは年間30億円も投資している。