セブンに突き付けられた成長一辺倒への疑問、値引き事件が浮き彫りにした“構造問題”
なぜセブンだけ? 理念貫くゆえの皮肉
「本部と加盟店は共存共栄」--。これはセブンがフランチャイズ(FC)ビジネスの根幹として創業以来唱え続ける理念だ。
それは決してウソではない。本部は店の経営指導を行い、商品開発や物流・情報インフラを構築する。一方の加盟店は、店舗経営と販売に専念する。セブンはその役割分担を明確にすることで、共存共栄を追求してきた。そしてその姿勢は、間違いなく他チェーンよりも一貫しており、それが強みでもあった。
では、今回なぜ、セブンだけが問題にされたのか--。皮肉にもその答えがここにある。
役割分担からすれば、どの商品を仕入れるかという発注権限は加盟店にある。となれば当然、価格の決定権も、その商品の在庫リスクも加盟店が負う。どのチェーンも建前はそうなっている。しかし実際のところ、ローソンやファミリーマートなどの他チェーンには“グレーゾーン”がある。たとえば、店や時期などの状況に応じて廃棄負担を負ったり、最低利益を保証するなどの支援をたびたび行う。ある店では、梅雨明けの前日、本部が一部廃棄負担するから飲料の発注を増やすよう指導があった。
セブンにも、かつては弁当の廃棄分を期間限定で本部が買い取るなどの支援策があったが、ここ10年ほどで徐々に姿を消していた。その分、加盟店の不満も出やすい。
また、FC契約も微妙に異なる。たとえばファミリーマートは、加盟店はまず推奨価格で販売することが前提で、その後の価格については本部と協議して決めるという内容になっている。
だが、セブンの基本契約書30条には「加盟店は商品の価格を自らの判断で決定する」と明記されている。加盟店指導の一部に行き過ぎがあったという事実だけでなく、セブンの場合、価格統制は明確な契約違反になる。