ローン金利が急落、住宅は今買いなのか?

10年固定0.5%も登場、窓口に相談殺到

むしろ近年のマンション価格の急上昇は、住宅市況を腰折れさせかねない事態を招きつつある。2015年の首都圏マンションの平均販売価格は5518万円と、1991年(5900万円)以来の高値となった。実質賃金が減少の一途をたどる中、前年に対して458万円も高騰しており、金利低下の恩恵を帳消しにしている(右図)。

実際に平均価格を押し上げているのは、富裕層に人気のタワーマンションや都心物件だ。こうした物件の勢いはまだ続いており、大手不動産デベロッパーの住宅部門は至って好調である。

中間層は青息吐息

しかし購買の動きは二極化しており、中価格帯以下の売れ行きは鈍化。不動産経済研究所の調査によると、2015年の首都圏マンション発売戸数は4万0449戸と、前年よりも1割減少した。その主因について同社の松田忠司主任研究員は、「価格の上昇に一般サラリーマン世帯がついてきていない」と見る。

いきおい一般サラリーマン世帯は、住宅ローンへの依存度を強めている。住宅金融支援機構の調査によると、マンションの住宅ローン年収倍率は、2015年9月末時点で6.9倍に達した。一般的に「住宅ローンは年収の5倍」が目安とされており、現在はローン破産のリスクが高まる危険水域に突入しつつある。

そのような状況下での金利低下に対して、「相応の返済能力のない人たちが、異例の金利低下局面で返せると勘違いして動いてしまうと、後が怖い」(ハイアス総研の矢部智仁主席研究員)という懸念の声も上がっている。

1次取得層の実需買いを欠いたままのマンション市況はいかにも危なっかしい。住宅ローン金利の低下は、踊り場にさしかかった市況のカンフル剤にはなりうるが、その後の傷を深くするリスクも同時にはらんでいる。

「週刊東洋経済」2016年3月12日号<7日発売>「核心リポート02」を転載)

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