難民問題の裏で巨大化する密入国ビジネス 昨年は年間30億~60億ドルのカネが動いた

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消息不明になったガーメイは8月に入って突然、テスフォムに電話をかけてきた。リビアの民兵組織に監禁されていたが、近くで戦闘が起きたすきに逃げ出し、数日かけてトリポリまで歩いたというのだ。2日間何も食べられなかった。

兄弟は話し合った結果、リビアで活動している有名な密入国業者を頼ることに決めた。この業者が2200ドルを受け取って、9月初めにガーメイを船に乗せた。

苦しみはいつまでも

リビア情勢は悪化の度を深めており、もしも出発が数日遅れたら、生きて地中海を渡ることはできなかったかもしれない。ガーメイはイタリアからドイツを経てスウェーデンに到着し、亡命を申請している。

テスフォムは以前、エリトリアから逃亡したもののエジプトで捕まって強制送還されたことがあった。その際、学校の教師である父親は8カ月投獄され、3000ドルの罰金を払わされた。

ガーメイのイタリア上陸と相前後して、父親はまたも投獄された。テスフォムがニューヨークから送った金を受け取っている時に逮捕されたのだ。今度は2週間後に、約1万2360ドルの保釈金を払って釈放された。

「われわれの苦痛には、終わりも始まりもない」と、テスフォムは言う。

(記者: Selam Gebrekidan, Steve Scherer, Wlad Pantaleone, Sara Ledwith  編集:Alessandra Galloni, Simon Robinson)

 

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