私のサービス論 「研修のため、世界初の“訓練船”を就航させました」

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私のサービス論 「研修のため、世界初の“訓練船”を就航させました」

サービスがサービス産業の専売特許であったのははるか昔の話。今やサービスは、あらゆる産業にとって最優先課題になっている。日本の名だたる企業のトップたちは、「サービス」をどう定義し、具体的にどのようなサービスを実践しているのか?各社のトップに聞いた。
(『週刊東洋経済8月11日・18日合併号の特別版』)

Q.御社にとって、「サービス」とは何ですか?

 お客様(荷主)から輸送を依頼された貨物を、適切な船舶などの輸送手段によって、安全/迅速/確実に輸送すること。

Q.御社のサービスの具体例を教えてください。

 鉱石専用船によって、ブラジル産の鉄鉱石を中国の製鉄会社に多量かつ安定的に輸送。同国の経済発展に役立てています。また、日本で生産された自動車や精密機械などを、各々の専用船(自動車船・コンテナ船)で世界各地へ輸送しており、定期航路であるコンテナ船は速度/スケジュールの安定化が必須なので、その点に注意を払っています。

Q.サービスを定着・向上させるために、どのような取り組みを行っていますか?

 主に4つのことに取り組んでいます。
 
(1)「商船三井ブランド」のサービスを提供する安全運航の徹底のため、弊社では「MOL安全管理制度」を導入。傭船(第3者から船を借りること)船隊も含めた運航船800隻以上に、弊社品質基準を適用し顧客サービスの底上げを目指しています。具体的には以下の通り。

 「弊社グループの海技員を船舶へ派遣し、管理状況を調査・把握。改善点を指摘している」=【検船】の実施。「全船種を網羅する100隻以上の船を抽出、各種点検を行う【安全一斉総点検】の実施」など。

(2)安全運航徹底のため、各種研修(船上/陸上)を実施。7月には民間企業では世界初の「訓練船」を就航させました。将来の船員幹部候補を乗船させ、各種研修をおこないつつ、安全意識を徹底させています。

(3)世界8カ国13個所に「船員トレーニングセンター」を所有し、安全/確実/迅速な運航を支える船員を養成しています。

(4)日本および海外の適切な個所に、営業部隊を配置。顧客の要求をくみ取り、最善の輸送ルートなどを提案。顧客充足度のアップに努めています。

芦田昭充(あしだ・あきみつ)
京都大学教育学部卒。1967年大阪商船三井船舶(現商船三井)入社後、サンフランシスコ駐在、欧州・アジア部長などを経験。2004年6月より現職。

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