恐怖と欲が交錯し、株式市場は膠着状態 売買出動は方向性が明確になってからでいい

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そこで今週の展開だが、内外ともに材料は少ない。さしたる好材料も悪材料もないなか、引き続き何となく買われて株価が上振れし、何となく売られて株価が下振れし、という方向感の乏しい推移となるのではないか。

そうしたなか、2/26(金)~2/27(土)のG20の財務相・中央銀行総裁会議で、何らかの材料が飛び出すといった期待を持つ向きがある。そうした期待は禁物だ。もちろん、最近の世界市場の波乱や新興諸国経済に対する懸念を踏まえ、諸情勢を注視する、という声明は出されうる。しかし、それだけだろう。

政策にできることには限りがある

では、大いに失望すべきかと言えば、そうでもない。もともと、G20で何かすごい策が出て、世界の株式市況が一気に好転する、などといったことは、最初からあり得ない。誰がどう考えても、そんな魔法のような策はない。そうした自明なことがわかっていれば、過度に期待しすぎることはないだろうし、失望する必要もない。

これは、G20という国際協調の舞台だけではなく、各国の経済・金融政策も同様だ。政策でできることには、もともと限りがある。限りがあるものを、無限の力があると誤解すれば失望も生じるだろうが、最初から限りがあると正しく理解していれば、失望する必要もない。

それでも短期的には、勝手に期待して勝手に失望する向きは後を絶たない(また、そうした政策や経済統計等のイベントがないと失業する専門家も多い)ので、どうしても世界市場は、上振れ、下振れを引き起こす。ただしそうした目先の振れは、長期投資家にとっては無視すべきものである。

今週(22日~26日)の日経平均は、足元の水準から上下動をみせようが、明確な方向感はまだ表れにくいと想定する。具体的なレンジ(週内のザラバ安値からザラバ高値まで)は、1万5600円~1万6200円を予想する。直近の安値に迫ることもないだろうし、先週16日に付けたザラバ高値1万6341円も上抜けにくい、と考えている。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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