日本株の下値固めを左右する「ドル円」動向 2円50銭刻みで1000円の振れがみられる

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2016年の日経平均株価の下げ幅は一時4000円超に達した。1月は原油安(政府系ファンドとみられる換金売り)、2月は円高(国内企業業績の悪化懸念)が日本株を下押したといえる。

1~2月の動きをみると、NY原油先物(WTI)は26ドル台半ばで下げ渋る一方、ドル円は115円台から110円台まで円高方向へ振れた。国内企業収益の下振れを懸念、市場参加者は日本株のフェアバリュー(株価収益率13~14倍)を手探りつつ、日中値幅の拡大が続いている。

そこでドル円と日経平均株価を複眼すると「2円50銭刻み=1000円の振れ」(115.00円=1万6000円、112.50円=1万5000円、110.00円=1万4000円)が浮かんでくる。

2月15日、安倍首相は衆院予算委員会の答弁で「為替市場についてはG7やG20などで合意されているように、急激な相場変動は望ましくないと考えている。財務大臣には引き続きしっかりとみてもらい、必要に応じ適切に対応してもらいたい」と述べた。

2月26日~27日、上海でG20が開催される。新興国の資本規制について働きかけたい日本等に対し、議長国の中国は静観する姿勢。米利上げを機に新興国の資本流出が進むなか、為替市場の安定化につなぐことができるのか注目される。

マイナス金利による銀行業績への懸念

さて、2月16日に日銀のマイナス金利政策が始まった。米格付会社の試算によると、マイナス金利政策による国内銀行の業務純益(初年度)はメガバンクが8%程度、地銀は15%程度押し下げるとしている。足元では欧州銀行が債券の買い戻しを発表、金融機関の信用不安がいったん後退。国内銀行株も大幅上昇となったものの、業績の下振れ懸念はぬぐえていない。また、国内上場企業の2015年10~12月期の決算が出そろい、連結経常利益は前年同期比6%の増益を確保した一方、通期での伸びは鈍化しそうだ。

ただテクニカル面からみると、期日明けに伴う需給改善期待されるなか、年初来マイナス18.8%超(約1万5400円以下)は売られすぎの水準といえ、今後はドル円と日本株を複眼的にとらえることがポイントとなる。

自社株買いを発表した大手通信株の一角が大幅高になる等、底入れの兆しもうかがえる。当面は為替市場や原油市場の落ち着きを確認しつつ、日本株は下値固めの展開が想定される。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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