まるで掴みガネ、悪質すぎる「口利き」の真相

甘利事務所の秘書が補償額の増額に積極関与

この時のURによる面談記録を見ると、鈴木元秘書はその金額に「そんなに補償しているのか」と驚きながらも、「少しイロを付けてでも地区外に出ていってもらう方が良いのではないか」と増額を示唆。さらに鈴木元秘書は「圧力をかけてカネが上がったなどあってはならないので、UR本社に一度話を聞いてもらう機会をつくったことをもって当事務所は本件から手を引きたい」と述べている。

しかしこれで甘利事務所の関与が収まったわけではない。1月28日にURが民主党に提出した資料によれば、この後、10月26日に横浜市内の居酒屋でUR職員3名と甘利事務所の秘書2名が会食している。さらに、議員会館での秘書とUR職員との接触は3度(うち1度は会館内通路)、大和事務所での接触は4度に及ぶ。

それだけではない。鈴木元秘書は11月12日に「佐藤」という偽名を使って甘利氏の秘書であることを隠し、UR千葉業務部の会議室で行われたURと建設会社の協議に参加しているのだ。

「事実を知るためには、甘利氏と清島氏、鈴木氏を証人喚問し、国会で説明してもらう必要がある」

疑惑追及チームの会合で、玉木氏はこう意気込む。真相解明には真実を述べる義務を課する証人喚問しかない。だが自民党は「すでに東京地検特捜部が動いており、司直の手に任せるべき」と消極的で、4月の衆院補選や参院選を控えて政局にしたくない本音が見てとれる。一方で民主党は、この件をきっかけに支持率拡大を狙いたいというのが本音だろう。

政争の具にしてはならない

ただこれには忘れてはならないことがある。言うまでもなく、URは財政融資資金、国庫補助金などを受け取っている独立行政法人であり、その財源の多くは国民の税金や預金に由来している。

そのURから建設会社に対して、道路工事を巡る補償2億3600万円に加え、工事による震動で建物の一部がゆがんだことによる追加補償5100万円が支払われた。それだけでは飽き足らず、まるで掴みガネのように、さらに20億円をせしめようとしていたわけである。

建設会社の秘書が告発をしなければ、この問題が明るみに出ることはなかっただろう。そう考えると、同じような「政治家による口利き」と、それによる見返りの受け取りはほかにも隠れている可能性がある。だからこそ、甘利問題については、与野党とも一致団結して真相を解明したほうがいい。この問題を政争の具にするべきではない。

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