まるで掴みガネ、悪質すぎる「口利き」の真相 甘利事務所の秘書が補償額の増額に積極関与

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2月15日夕方に開かれた民主党と維新の党の「安倍内閣口利き疑惑追及チーム」の会合では、この録音記録の内容が披露された。予算委員会で音声記録の存在を公にした玉木議員が声の主が清島氏であるかどうかを尋ねると、清島氏と面識のあるURの職員は慎重に言葉を選びながらもこう証言した。「清島さん(の声)のような感じがします」。

同時に配布された資料には、その前に大和市内の寿司屋で一色氏と清島元秘書のやりとりとされるものが記されていた(以下抜粋、原文ママ)。

「また後で詳しく話しますけど、具体的に数字をいわないと向こうはどうしていいかわんないみたいなんですよ」

「うちに具体的な金額をいっていただいちゃったほうが、っていう話を似たような話をしていたんですよ」

「もう一回金額いっちゃってもいいよねっていう話はしました。それ具体的にしたほうが、この分はこのくらいで、立ててもらうから、そうしたらそれをもう一回会社で計上すればいいわけだから」

「だって私たちは、金額を含めて相当に払っていますって(UR側に言われてしまう)。だから具体的に金額を言っていかないと、こちらもわかりませんという言い方なんですよ。じゃあそれにのりましょうと。私達聞いたんですから」

「それは私も逃がさないですよ。言ったんであれば、今度会う時は金額ベースの話だよと。会いたいってなったら会ってねと。金額具体的に出てくるよと」

「たぶんここまでうちが入っているので、あとのやりとりについてはちゃんとうちのやったとおり、いったとおり、実態があるという言い分を全部聞いて、一回持って返って、協議することにしましょうよってことをまずやってなかったので、お金は(向うは)払ってるっていっているんで」

寿司屋で昼食をすませた後、近所の喫茶店に席を移し、さらにやりとりは続く。

甘利事務所が積極的に関与

「最悪、文章だけ、これいくらとか、例えばいくらがどうしたとか。文章にして証拠に残るようなものを」

「コンクリートの費用かかったと。地下に埋まった部分はどうするんだとか。そういうモノなりを作ってください」

「それはべつに一色さんが計算する必要はないので、そのかわりにしたにある産廃はどうするんだまで。それでいいです」

その後に冒頭の音声記録の内容に続くわけだが、これらの記録から伺えるのは、根深すぎる癒着だ。2月10日の衆院予算委員会では、URの職員が昨年10月9日に議員会館の事務所で甘利氏の政策秘書だった鈴木陵允氏と面談し、建設会社に対する追加補償の額を漏らしたことを指摘され、上西郁夫理事長が謝罪している。

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