金融機関で「預金金利引き下げ競争」が勃発 マイナス金利導入が引き金に
各行とも、収益の上がらない預金に対して口座維持管理手数料を導入し、預金に対して事実上のマイナス金利を課したいのが本音だ。
しかし、「顧客が納得してくれるのかを考えると難しい」のが実情だ。このため、「機関投資家や地銀などには、預け入れを遠慮してもらっている」と明かす関係者もいる。
海外ビジネスへの影響も
マイナス金利の導入で、国内貸出の利ざや縮小は不可避だが、「影響は海外ビジネスにも及びかねない」(大手行役員)との懸念も出てきた。
国債運用の依存度が高い地銀が、外貨建て債券の運用にかじを切れば「ドルの調達コストが上昇し、外貨建てビジネスの収益を圧迫しかねない」(同)からだ。
年末に一時ドル調達コストは下がったものの、日銀のゼロ金利政策導入以降、上昇傾向にある。足元では2011年11月以来の高水準になっている。
背景には、米国の金融規制強化や円安による担保価値の下落など複合的な要因があるが、「円貨資金の運用難が深刻化し、外貨運用の動きが強まれば、ここからさらにドル調達コストが上昇しかねない」と、先の大手銀役員は心配する。
世界的には金融機関に対する信用不安がくすぶり始めるなか、「マイナス金利政策の導入は、信用創造の機能低下を招きかねない」(シンクタンクアナリスト)との指摘も出ている。
(布施太郎 編集:田巻一彦)
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