シャープの経営再建をめぐり、支援先として名乗りを上げている台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と産業革新機構の綱引きが続いている。両者は支援案をシャープに示したもようで、今後の協議を経て支援先が決まり、具体的な再建の枠組みが固まってくるだろう。
シャープが経営危機に陥った最大の要因は、液晶や太陽電池(ソーラーパネル)などへの投資が結果的に過剰となってしまったことにある。市場の成長を見越して大型投資を仕掛けたが、もくろみ通りにはいかず、経営の重しとなった。
建物や機械設備などの有形固定資産に資金を投じる設備投資。この金額が大ければ大きいほど、企業は積極的に事業を拡大していることを示す。
東洋経済オンラインは今月、上場企業の設備投資について「初公開!『設備投資額が大きい』トップ500社」(2月1日)、「10年で設備投資を積み上げたトップ500社」(2月11日)、「設備投資を10年前から増やしたトップ300社」(2月12日)のランキングを公開してきたが、第4弾として10年前から設備投資額を減らした会社の上位300社ランキングをお届けしよう。
小社刊の『会社四季報』(2016年新春号が発売中)で集計したデータのほか、各社の財務諸表から企業が生み出した利益を積み立て、会社内部に蓄積されている利益剰余金も併載した。以前に比べて減らしている局面は事業拡大のペースが落ちていたり、意図的に落としていたり、一時的な大型投資が一巡した後だったりなどと解釈できる。
2位トヨタは事業拡大ペースの抑制を反映か
1位は日本電信電話(NTT)で10年前との単純比較で3743億円減、2位はトヨタ自動車で同3514億円減。2社とも直近や過去10年の累計設備投資額の大きさではトップ2の会社だ。それぞれ毎年の設備投資額の規模が1兆~2兆円単位と大きいので、減少額は大きく見えるが、業績はいずれも堅調だ。
あえて言えば、NTTは子会社で本ランキング3位(同2253億円減)であるNTTドコモの影響が大きい。10年前に比べると携帯電話は一段と普及が進んだことが要因の一つだろう。
トヨタについては2000~2007年に毎年50万台前後のペースで生産台数を増やし、会社が急成長した裏側で、それに人材育成が追いつかない状態にもなった。その後、2009年に就任した豊田章男社長体制になってからは事業拡大のペースを落としており、それが数字に表れた格好だ。
一方で、本ランキングで4位(同1563億円減)のシャープや、5位ソニー、7位NEC、8位パナソニック、9位東芝、10位富士通など、上位にはこの10年で業績不振が目立った電機業界の有力企業の姿が目立つ。電鉄系や不動産系など、一時的に大きく設備投資が必要になる会社で、10年前との単純比較でランクインしている会社があることなどにも目を配りたい。