SNS三国時代、グリーの猛追で勢力図が大激変!
苦戦ミクシィが方針転換 グリーは1000万の壁
一方、最大の会員を擁しながら、最も苦戦を強いられているのがミクシィ。その要因は、課金型のグリー、ディー・エヌ・エーと違い、広告収入に依存したビジネスモデルにある。会員利用が伸び悩んだところに、景気悪化に伴う広告市場の急速な冷え込みが追い打ちをかけた。
そこで同社では打開策として「ミクシィアプリ」に力を注いでいる。仕様を公開することで、誰でも自由にゲームやコミュニケーションツールなどのアプリを開発し、SNS上に公開できる。米国ではゲームを中心にSNSアプリが普及しており、利用増加が見られるという。アプリ用のテストサイトをすでに稼働、開発者向けの資金支援プログラムなども用意して開発を促している。利用者向けには8月以降、本格的にアプリのサービスを開始する。
笠原健治社長も「アプリにより、日記に限られていたミクシィの利用シーンが多様化する」と期待する。アプリ販売による課金収益や、サイトの再活性化で収益拡大を図る。
さらに10月からは、ミクシィの代名詞ともいえる「招待制」を廃止する。ブームが一段落したことで招待制による会員獲得は難しくなっており、自由登録制への大転換で「(手薄だった)30歳代後半以降や地方の会員を掘り起こす」(笠原社長)。招待制という独特の仕組みが利用者の安心感を生み、会員数を伸ばしてきた一方、閉鎖性がネックだった。これが膨大な会員数を抱えるにもかかわらず、マス広告を企画する足かせになっていた。自由登録によってこうしたタガを外す狙いもある。
アクセルを踏み直す先行2社に、破竹の勢いで迫るグリー。だが、そのグリーも楽観はできない。ミクシィもディー・エヌ・エーも会員数が1000万人を超えたあたりから勢いが鈍り、利益も伸び悩んだ。ちょうどそこへ達し、今後さらなる高みに突き抜けられるのか。重要な局面を迎えている。
(丸山尚文 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済)
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