映画版「路線バスの旅」はどこまでガチなのか 言葉の壁と台風に見舞われ大波乱の台湾縦断

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

番組では、ローカル路線バス以外の交通機関の使用やインターネットでの情報収集は禁止、ルート決めや宿探しなどはすべて出演者の3人が行うという「ルール」がある。海外を舞台とした今回の映画でもその条件は同じだ。

「ふだんどおりテレビと同じように3泊4日でやって、もちろんなんのシナリオもなく、違うところは映画用にカメラが4Kだったというだけで、何も変わらないんです」。舞台挨拶で初の海外ロケについて問われた太川さんはこう答えたが、苦戦したのはやはり「言葉」だったという。

画像を拡大
演出を務めた鹿島健城さん

2007年の開始当初から番組にかかわり、本作品でも演出を務めた鹿島健城さんは「基本的にやることは変わらなかったんですけど、最初下見に行ったときから言葉の壁はかなりハードルが高いなと思った」と語る。旅には通訳が同行しているが、出演者と現地の人との会話を訳すのみ。アドバイスなどは一切しない。

舞台挨拶で、現地語で質問などを書いたカードを用意したというエピソードを紹介した太川さんは「バス停はどこですかとか(カードを)見せるんです。わかってくれていいんですけど、答えがわからないんですよ」。蛭子さんも、バス停の場所を尋ねる言葉などを覚えていったものの……。

その中で力を発揮したのが、英語が堪能な三船さんだ。「大きな都市の案内所など、英語が通じるところに行くと大活躍で、いいルートを見つけたりしてかなり助けになっていましたね」と鹿島さんは振り返る。

台風でもバスが走る限り…

今回の映画で特にドラマを生んでいるのは、これまでの乗り継ぎの旅の中でも「史上最大の危機」という、バスの全線運休を引き起こした「台風」だ。

鹿島さんは「まあ直撃はないかな、という状況だったんですが、実際に来てみてけっこう大きな台風だったんで、台風慣れしている台湾の人たちもびっくりしてたんですけど」と話す。映画でも、大きな木が折れたり倒れたりしている場面に遭遇するなど、その威力のすさまじさが感じられるシーンが登場する。

そんな中でも行ける限り旅が続くのが、このシリーズならではだ。鹿島さんは「途中で太川さんとは『映画を前編後編に分けて、後編はまた来よう』なんて冗談では言ってました」と笑うが、「最後までバスが動いているところはどんどん行こうと。ロケのし直しなどはルール上あり得ないので」と、台本のない「ガチ旅」へのこだわりを語る。

次ページスムーズには絶対進まない
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事