孫社長、足元の資金面に「不安要素はない」 クレジットデフォルトスワップが上昇
[東京 10日 ロイター] - ソフトバンクグループ<9984.T>の孫正義社長は10日の決算会見で、足元で同社のクレジットデフォルトスワップ(CDS)が上昇していることについて、業績は順調で流動性も確保しているとして「不安要素はない」と強調した。
マークイットによると、ソフトバンクの5年物CDSは2月以降に90ベーシスポイント(bp)程度上昇、一時2011年10月以来の高水準となる383bpをつけた。
こうした動きについて、孫社長は「業績は順調に推移している。現金も手元に2兆円くらい持っており、保有する上場株式もソフトバンクの時価総額を超えてお釣りがくるほどある。流動性は高く持っており、どこにも不安要素はない」と強調した。
最大の懸念材料となっている米携帯電話子会社スプリント<S.N>についても「反転への兆しが明確に見えてきた」と自信を示し、改善が株価に結びついていないことに関しては「ソフトバンクもボーダフォンジャパンを買収してしばらくの間は業績が改善し始めても市場に認められなかった。世の中が受け入れるのには若干の時差がある」と述べ、楽観的な見方を示した。
ヤフージャパンは独自運営
米国では、ヤフージャパン<4689.T>に35%出資する米ヤフー<YHOO.O>の経営再建問題が尾を引いており、米ヤフー買収に米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ.N>が興味を示している。ベライゾンはスプリントと競合するだけに、市場ではソフトバンクの動きに注目が集まっている。
これについて孫社長は「ヤフージャパンは実質的な子会社として創業以来マネジメントしている。米国側はあくまでサブパートナーという位置付けで、相手方のパートナーが変わっても直接的な影響はない」と述べ、米ヤフーの株主がどこになろうと今後もヤフージャパンとして独自に運営していく姿勢を示した。
営業益は前年比18%増
ソフトバンクGの2015年4─12月期連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年比18.0%増の8753億円となった。国内通信事業が堅調に推移したほか、ヤフーによるアスクル<2678.T>子会社化も利益を押し上げた。スプリントの改善も寄与した。売上高は前年比7.9%増の6兆8102億円だった。
同社は通期見通しを開示していない。トムソン・ロイター調査によるアナリスト22人の通期営業利益予測の平均値は前年比7.9%増の1兆0610億円となっている。
(志田義寧)
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