週刊東洋経済 最新号を読む(5/16号)
東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #グローバルアイ

ピケティ理論では経済格差は読み解けない 複雑な実態を無視するとしっぺ返しの危険も

4分で読める
2/2 PAGES

金利と経済格差の関係について考えるため、ピケティのデータを参考にしてみよう。所得に対する資産の比率が欧州で最も上昇した国として、彼はイタリアを選択した。同国でのこの比率は1970年に230%、2010年は約680%だった。ドイツは、もっと「道徳的」な国だったようで、この間の上昇は210%から400%にとどまった。

ピケティは、イタリアの金利がこの間20%から4%となり、低下幅がドイツの10%から2%よりも大きかった事実を強調し忘れている。

実社会が格差に与える影響は、よく見ればピケティの予想とは逆になっている。イタリアでの富の分配は、ドイツよりも均衡が取れているのだ。

欧州中央銀行のユーロ圏家計調査によると、ピケティの調査の最終年である2010年に、平均的なイタリア世帯は平均的なドイツ世帯よりも41%豊かだった。さらに、イタリアでは家計資産の平均と中央値の差が59%なのに対し、ドイツは282%と非常に大きかった。

この差は、イタリアの世帯の持ち家比率が59%なのに対しドイツは26%にとどまっていることにより、大部分を説明できる。それによりイタリア人の多くは、金利低下で多大な恩恵を得たわけだ。

過激な「平等追求」は有害だ

また、所得は特殊技能に対する需要など数多くの要因に左右される。その技能がある人々に需要がなければ、技能向上や訓練の機会を与えられるかどうかが、所得の見通しに大きな影響を与える。同時に所得水準が一定以上になった人の一部は、仕事の責任が増大したことで生活の質に被害を受けるため、十分な金銭的報酬が必要になる可能性がある。

経済格差の実態が明らかに複雑さを増していることからすると、一部の政治家が現在推し進めているある種の過激な政策には注意を要する。その影響は予測できず、最終的には利益よりも被害をもたらす可能性もある。

新たな取り組みは全く不要かもしれない。結局、世界的に見ても、生活水準は常に向上し続けている。これは、新たに登場しているポピュリストから態度を硬化させている資本家まで、全員が同意できることなのだ。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象