ガンホー正念場、パズドラは海外で勝てるか 海外に注力するが、課題は山積している
今年は中国にもパズドラを投入する。中国ネット大手のテンセントと事業提携を発表したのは2014年末。約1年の間、テンセントと協議を重ねて中国向けの内容に作りこんできたが、今年3月までに満を持して配信を開始する予定だ。広告宣伝などを担うテンセントとの間で収益分配が発生するが、巨大な中国市場でヒットすれば十分な見返りがあるはずだ。
また、新たな事業として、他社が開発したスマホゲームの配信・運営も今期から始める。森下社長は「オンラインゲームの運営を長く手がけてきた経験は有効活用できる資産だ」と説明。海外ゲーム会社の作品を手始めに、長期的な収益源に育てたい考えだ。
ただし、難しい問題になりそうなのが、テレビCMなどの広告宣伝費の抑制と、国内と海外での予算配分だろう。
2015年度の広告宣伝費は、米国でのテレビCMなどが影響し、前期比48%増の199億円と膨らんだ。しかし、主戦場の国内でパズドラのテレビCMを大幅に減らすのは困難だ。なぜなら、新規ユーザーを獲得する効率が低下しているとしても、いったん遊ばなくなった既存ユーザーを再びゲームに引き戻す点で重要な役割を果たしているからだ。
業績を再加速できるか?
経営の地盤を緩ませないためにも、国内向けの予算を簡単に絞ることはできないが、一方では米国で新規ユーザー獲得のペースを速めるために、広告宣伝費を投じる必要も出てきそうだ。今期の広告宣伝費について、森下社長は「前年度と変わらないくらいではないか」と述べており、高水準の負担が続きそうだ。
また、中国市場の攻略が上手くいくのかも未知数だ。ミクシィは、ガンホーと同様にテンセントと提携し、国内ではパズドラと並ぶ大ヒットゲームの「モンスターストライク(モンスト)」を2014年12月から中国で展開したが、2015年10月には配信を停止。「中国ではオンライン上で遠くのユーザー同士が遊ぶ文化だが、モンストは対面で遊ぶことが多く、市場に浸透できなかった」(ミクシィ幹部)と、ユーザーの文化の違いに苦しんだ例もある。
ガンホーは2016年度の業績予想を発表していないが、森下社長は「もちろん、増収増益を目指すのが基本線だ。パズドラのユーザー数は安定しており、新作ゲームも投入していく」と力を込めた。国内で「パズドラ」の熱を保ちながら、新たな収益源を早期に作れるのか。
2月2日の決算発表に合わせて、3月に孫泰蔵氏が会長を退いて取締役となる人事も発表された。もともと経営にはほとんどタッチしていない孫会長の退任の理由は「一身上の都合」だったが、これでより経営の実態に沿った組織体制になることも確かだ。森下社長は業績の再加速を求められる今期、簡単ではない舵取りに臨むことになる。
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