NHKは本当に変わったか--実力か、民放各社の衰退か?(下) 

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自由ゆえに暴走も 試される手綱さばき

ただし、NHKは全国54の放送局、1万人を超える職員がいる巨大組織。短期間ですべて改革できるほど単純な組織ではない。

たとえば、コンプライアンス。福地会長就任後も、記者の新聞記事盗用、懲戒処分を受けた職員の再雇用、人気番組「プロジェクトX」プロデューサーの万引きによる逮捕など、不祥事が噴出。まだまだウミを出し切ったとは言えない。その点でカギになるのは、4月に始動した経営計画。重要な施策が山積みだ。

ジャーナリズムのあり方も問われる。たとえば、4月に放送されたNHKスペシャル「シリーズJAPANデビュー」の第1回。日本の台湾に対する植民地政策をテーマに扱ったが、放送後に「台湾は親日国であるのに、内容が反日に偏っている」という抗議が殺到した。

日向英実放送総局長は会見で、「番組を恣意的に編集したことはない」と反論。だが、報道出身のNHK職員は「植民地政策は悪、という結論ありきで番組が作られた印象は否めない。この件に限らず、福地会長になって、制作現場が作りたいものを作れるようになった。それゆえ現場が暴走し、色がついたものになる危険性がある」と警告する。

NHKと取引のある番組制作会社社長は、番組の民放化を懸念する。「深夜帯の若者向け番組など、民放を意識しすぎではないか。視聴者満足の方向性を間違えると、視聴者のテレビ離れが一気に加速する可能性がある」。

現場が自由な雰囲気に変わりつつある一方、暴走は防がなくてはいけない。福地会長の手綱さばきが試されている。

(中島順一郎 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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