「ケチな30~40代」どうすればおカネを使う? 団塊ジュニアは「この5つの弱点」を攻めよ

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団塊ジュニア世代が子どもの消費に積極的になる背後には、「団塊世代の親」の存在も欠かせません。

団塊ジュニアは「子ども」と「自己啓発」にカネを使う

3.「3世代消費」――団塊は「子ども」「孫」にカネを使う

先ほど、働く独身の娘と両親の同居という「1.5世帯」を例に挙げましたが、この世代のファミリー層は、親とは別居していても、「親の近所に住む人」が増えています。

目的はお互いにプライバシーを尊重しつつ、サポートし合うこと。このサポートには、団塊の親による「孫のための消費」も含まれます。

近年、少子化の影響で、子ども関連の市場は服やおもちゃ、娯楽など全体的に縮小傾向にありますが、子どもの将来に関わる産業、すなわち「英会話教室」や「学習塾」などの教育関連の市場は、今後も成長が見込める分野です。

団塊世代の祖父母や団塊ジュニア世代の親が、孫や子どものためにおカネを使う可能性は高い。この「3世代消費」は、大きな消費の狙い目になります。

4.イクメン消費――「自分」より「子ども」におカネをかける

団塊ジュニア世代の既婚男性がパパステージに突入すると、積極的に育児にかかわるようになり、「イクメン」という言葉がはやりました。これは2010年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテン入りし、受賞者には団塊ジュニア世代のタレントで4児の父である、つるの剛士さん(1975年生まれ)が選ばれました。

「イクメン」増加の理由は、正社員でも雇用や収入が不安定な今、子育てステージにある団塊ジュニア世代が個人消費を控え、「自分」より「子ども」におカネをかけるようになったと言えます。

5.「自己啓発」「自分探し」にはおカネを使う

「団塊ジュニアは消費の傾向がバラバラだ」と冒頭にも書きましたが、実はこの世代は「『自己啓発』や『自分探し』を好む人が多い」のが特徴です。

彼らは好景気の日本で、「頑張れば幸せになれる」と信じて育てられてきました。しかし、就職氷河期に直面し、信じられるものを失い、「自分探し」や「自己啓発」に傾倒する人が大量に出現しました。

団塊ジュニアの女性の間では「資格を取って年収600万円を目指せ」と説く勝間和代さんに憧れる「カツマー」現象も起きました。離職や求職をして、海外留学する30代も増えています。あるいは30代後半でマンションを購入するシングルの女性も増加傾向にあります。

一方、経済状況が厳しい人は、中年になっても独身のまま、親と同居していることが少なくありません。彼らは、収入は低いものの、食住は親持ちのため、意外にも「趣味」におカネをかけることができます。そして、アイドルの握手会に行ったり、ガンダムのフィギュアをコレクションしたりするような「趣味人おじさん・おばさん」が増えているのです。

このように、独身の人口ボリュームが多い団塊ジュニアを消費対象とした場合、彼らの趣味嗜好や願望を反映した商品が求められているのです。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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