BPO委員長、「政府の放送法解釈は間違いだ」 NHK「クロ現」過剰演出への政府対応に物申す

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川端和治(かわばた よしはる)/1945年生まれ。弁護士。現在、朝日新聞社コンプライアンス委員会委員、日本年金機構理事(非常勤)、損保ジャパン日本興和ホールディングス株式会社顧問。元第二東京弁護士会会長、元日本弁護士連合会副会長。これまで司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、法制審議会委員、法務省政策評価懇談会座長などを歴任

予想外に政治的ハレーションが大きくなって、今後は政党などに呼び出される可能性も?

委員会は、自分たちが出す意見の政治的効果を考えて内容を決めているわけではない。その案件にとって必要な意見を必要な限度で書くだけなので。今回はまったく予想しなかったような反応が特にマスメディアの側からあって驚いたのは事実。これで自民党や総務省がどう思うかとか、考えたことはほとんどない。呼び出されるかもしれないとも一切考えていない。呼び出してどうするのか。あまり意味のある行為とは思わない。

2007年の放送倫理検証委員会発足時から委員長だが、振り返れば今の形が望ましい?

委員長は3年が1期の任期で3期目だが、1期目は委員会ができたが何をやる委員会か、何ができるのかはっきりしないところからスタート。局ではコンプライアンス部門で知っていても制作現場では知られていない状態から出発した。1期目は重要な案件がけっこうあり、NHKのETV2001問題や光市母子殺害事件の報道、バラエティ番組もやった。我々に何ができて何をするべきか我々の側もわかり、局の側にもそういう組織と認知してもらえるようになった。

制作している現場にどう伝えていくか

2期目は1期目にできた意見書のパターンを踏襲し、いろいろな問題で意見を出した。特に留意したのは制作現場に届かなければ何を言っても意味がないこと。何か問題が起きたときヒアリングに行くが、相手がBPOの放送倫理検証委員会の意見書など読んだこともない、そんなものあるのかという態度でいることがけっこうあり、これでは意味がないと。特に問題になったのが制作会社。ほとんどの番組が制作会社に丸投げの状態で、局の社員相手に我々の意見書に基づいた研修をしても実際に作る人には届かない実態がわかった。

制作会社も取り込む形で研修をさせなければという意識が2期目にあった。そこで実際に働いている若い人が、読んでみたくなるものをということで、「若き制作者への手紙」という、短くわかりやすく、こういうことを考えてほしいという小冊子を作った。当時の委員の重松清さんが原案を書いて、会議でもっとわかりやすく、易しくと注文をつけて直した。

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