電車内の「スマホ通話」を認めてもよいか? Wi-Fi普及拡大、利用ルールも緩和続く

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日本民営鉄道協会による2015年度の「駅と電車内の迷惑行為ランキング」では、総合1位が「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」、2位は「座席の座り方」で、「携帯電話・スマートフォンの着信音や通話」は4位にランクイン。男女別のランキングだと「携帯電話・スマートフォン」は男性の場合4位だが、女性では8位で「酔っ払って乗車する」(6位)などより低い。

1999年度の第1回アンケートでは「携帯電話の使用」は「座席の座り方」などを引き離し圧倒的な1位だった。だが、10年前の2006年度のランキングでは「携帯電話の使用」は2位となり、2008年度以降はほぼ毎年度4位が続いている。

同協会は特に理由の分析などは行っていないというが、これまでの車内でのマナーが浸透したことや、携帯電話の使用が通話より「LINE」などのアプリによるメッセージ送受信などの利用が中心になってきたことがあるとみられる。

通話ルールの再考は…?

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海外の電車内では通話をしないよう求めているケースは少なく、利用者のマナーに任せている場合が大半だ

この状況であれば、緩和された電源オフのルールと同様、通話に関しても「混雑時は避ける」というルールへの緩和が考えられてもおかしくないのではないだろうか。海外の鉄道では、大声での通話は控えるように求める案内を出しているケースはあるものの、通話をしないよう求めているケースは少ない。

国内でも「通話はご遠慮ください」とは案内していない鉄道会社もある。JR東海によると、東海道新幹線では、マナーモードへ切り替えるなど「周りのお客様にご迷惑にならないよう」配慮を求めるものの、「通話はご遠慮ください」「通話はデッキで」などといった案内はしていない。特に車内での通話もOKと案内しているわけではないが、あくまで利用者に注意を促す形だ。

「迷惑行為ランキング」の1位がここ数年「騒々しい会話」であることから、車内での騒音を迷惑と感じる利用者が多いことは確かだ。ユーザーのマナーに委ねられる部分が大きいだけに難しい面はあるだろうが、車内でのスマートフォン・携帯電話の利用場面が広がってきた今、改めて車内での通話ルールについても考えていいのではないだろうか。
 

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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