電車内の「スマホ通話」を認めてもよいか? Wi-Fi普及拡大、利用ルールも緩和続く

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しばらく続いていた「優先席付近では電源オフ」のルールは緩和された(写真:hot stuff/PIXTA)

では、音声通話についてはどうだろうか。

携帯電話が急速に普及したのは1990年代後半からだ。当初は車内での通話や着信音をめぐるトラブルも多かったことから、鉄道各社は利用マナーに苦慮。

現在のように優先席付近で電源オフを呼び掛けた鉄道会社のほか、「偶数号車では電源オフ、奇数号車ではマナーモードに設定の上通話はご遠慮いただく」としていた東急電鉄など、各社が試行錯誤を重ねていた。

JR東日本や関東の大手私鉄など17社が「優先席付近では電源オフ、その他の場所ではマナーモード」という統一ルールを導入したのは2003年9月だ。翌年にはJR西日本や関西の大手私鉄など20社も同様のルールを導入し、これが最近まで続いてきた。

医療機器に影響の恐れは低い

最近になって、利用マナーについての案内が「優先席付近では『混雑時は』電源オフ」に変わったのは、2013年1月に総務省が「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」を改正したことが背景にある。この指針では、携帯電話が心臓ペースメーカーなどの「植込み形医療機器」に及ぼす影響に関する指針を見直し、携帯電話とこれらの機器の距離基準をそれまでの22㎝から15㎝に緩和した。

指針によると、影響の調査は「電波利用機器の電波を規格上の最大出力で断続的に発射し、医療機器の感度を最大にするなど、極めて厳しい条件」で行っているため、一般の生活で同じ状況となる可能性は非常に低く、調査で影響が確認された距離まで近接しても、実際に影響が発生するとは限らないという。これまで車内での携帯電話禁止の理由の一つとして挙げられることが多かった「医療機器の誤作動」が起こる可能性はかなり低いといえる。

そうなると、車内での通話が事実上禁止されている理由は何だろうか。「他のお客様のご迷惑にならないよう~」といった車内放送の文言通り、結局は「通話を迷惑と感じる人が多い」ことが主な理由といえるだろう。

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