迫り来る「メガトン級の巨大危機」に備えよ

リーマンショックを予見した運用者が語る

難しいのは、昔は、リスク資産の投げ売りが始まったら、国債が保険になった。しかし、日本国債自体は売られないにしても、ほかの資産での損失をカバーできるような上値余地がない。

これ以上買われたら、マイナス金利に突入していく。昔ながらの分散効果が機能しない。

原油安は「原油の時代の終わり」を象徴

原油安は新興国の苦境の先行指標ともいえるが、もっと広く考えると「原油の時代の終わり」を象徴しているのではないか。COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)における「パリ協定」の採択とか、フォルクスワーゲンのディーゼル車の排ガス不正問題なども、そうした流れの中にあるのではないか。そう考えると、足元では痛みがあるが、人類と環境にとっては長い目で見るとよいシナリオだ。

裏庭から油が噴き出しただけで大金持ちとなった中東やロシアのごくごく一部の人々が、投資をしてますます金持ちになり、ロンドンのメイフェアで金ぴかの住宅や車を持つ。一方で、中東は人口が増大していて貧しい人々が増えている。こうした富の偏在はどこかおかしい。持続可能ではない。1バレル=30ドルは第2次イラン革命の頃の水準だが、そうした大きな構造転換を考えると、40ドル、60ドルへと戻っていくとは思えない。

資本主義、市場経済のもとではとりあえず、政策を担う人々は自分の在任期間は大過なく務めたいと考える。そうすると、金融政策や財政政策を行って、極論すれば、痛みを避け、いいとこどりになる。しかし、クラッシュしないように飛び続ければますます債務が積み上がる。債務を積み上げているということは、将来世代に負担を押しつけているということだ。債務はどこかで、ある程度まで減らさないと持続不可能だ。

繰り返される金融市場の危機は「本来そこまでエンジョイすべきではなかったのに、将来価値を先食いしてしまったので、痛みも味わってください」という市場の神様の声だ。

ところで、話の最後で、日銀の追加緩和の報せが飛び込んできた。まずは市場がどの程度反応するのか、とくにその持続力に注目したい。次の焦点は米国と日欧・新興国の政策ベクトルの乖離がどちらかに収斂するのか、そうでないのか、という点に移る。グローバルにつながった金融資本市場ではマクロ政策の協調なしにどこまでうまくいくのか疑問だ。

むしろ、ますます、現状は1997年型の様相を帯びてきたと感じている。だとすると、ドルにもリスク資産にも、最後の売り場がゆっくりとやってくる。当局にとっても、市場参加者にとっても、展望の開けにくい長い戦いになるだろう。

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