迫り来る「メガトン級の巨大危機」に備えよ

リーマンショックを予見した運用者が語る

世界が苦しんでいる中で、米国だけが単独で立ち直っていくという姿も描きにくい。注目点は、次の利上げがいつか、ということではなく、利下げと見ている。昨年12月の利上げは、大間違いであったか、うがった見方をすれば、FRBが将来の危機に備えてあえて動けるようにのりしろを作っておきたかったかの、どちらかだと思っている。

主要国の中央銀行の中で、FRBだけが利上げをする、米国経済だけが順調ですと市場に対して宣言するということ自体が、ドル高と原油安を招き、新興国経済の苦境をさらに増すことになるわけだから、この局面での利上げは矛盾した政策だ。道路の右側通行を左側通行に変えるのに、「まずトラックから変えよう」といってるようなものだ。

結局、中国も米国も苦しくなり、大きな調整を迎えざるを得ない。10年に一度のクレジットサイクルが生きている。1998年、2008年に続くメガトン級の市場イベントがくる。これは人間がやっていることだから仕方がないこと。政策担当者の立場では、なんとか対処しなければならないので頭が痛いが、投資家、一市場参加者はそういうこともありうべし、と考えておく必要がある。

日本の投資家は当面リスク削減を

一つ言えるのは、とくに日本の投資家にとって、アベノミクスが始まってからは、誰にとっても儲けやすい相場だったことだ。円安で、株高で、債券も売られない。分散投資をロングオンリーでやっておけば誰でも儲かった。だからこれからは、大変だ。

以前は為替ヘッジをしていたような市場参加者、輸出企業や機関投資家や個人が、日銀の金融緩和が続くことを前提にして、円高リスクはしばらくないとみて、ヘッジを外していた向きが多い。円安と資源価格の低下で日本の交易条件は改善し、貿易収支が劇的によくなっているので、実需の円買いのマグマが溜まっている。リスクオフモードで円高が進み、リスク資産が売られて大幅に下がる厳しい状況が出現する可能性が高い。

危機がいつ来るか、どういう形で来るかは分からない。ただ、リーマンショックでもサブプライムローンのデフォルトが出始めた2006年末、サブプライムファンドの償還停止をBNPパリバが発表したパリバショック(2007年8月)、ベア・スターンズの破綻(2008年3月)からリーマンショック(2008年9月)までは、2年ほどかかっている。アジア通貨危機の時も、タイが変調を来してから米国のヘッジファンドであるLTCMや日本長期信用銀行の破綻まで、1年半ぐらいかかっている。

今回は、もっとバブルが大きいことや、中国の体力を考えれば、すぐ危機到来は考えにくいが、逆に言えば、不安を抱えた市場では、ボラティリティ(変動率)の高い、値動きの激しい環境がしばらく続く。本当にクライマックスが来るには時間がかかる。投資家は雲の上を歩いているような怖さがあるが、テールリスクの発生を前提に、リスクを削減しておくことが必要だ。

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