世界は感情で動く マッテオ・モッテルリーニ著/泉典子訳
社会は言い訳によって支えられている。横並びほど安心できるものはない。人はみな他人に厳しく自分に甘い……。こうした傾向はみな心理学的に説明できるという。前著『経済は感情で動く』同様、行動経済学と神経経済学による諸現象の分析はサービス精神に溢れて平易である。
おカネにかかわらない現象も含めて、脳が落とし穴にはまる一部始終がクイズ形式を取りながら興味深く語られる。行動心理学的に説明される事例と法則(規定)が次々に頭の体操を促し、反省を迫り、こんな失敗からは無縁でいたいものだと痛感させられる。
群れ効果、集団思考、他の集団への偏見、現状維持、自信過剰、後知恵、願望的思考等々、取り上げられる身近な落とし穴は、とりわけ組織の中での決定的エラーを回避するうえで学問的に深められる必要性は大きい。合理的期待などより将来性は高いと思えてくる先端的仮説が勉強できて、かつたっぷり楽しめる。(純)
紀伊國屋書店 1680円
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