ダボス会議は「世界市場急落」が議論の的に 金融危機の前兆なのか、そうではないのか
一方、波乱のスタートを切った2016年の見通しにそれほど確信を持っていない向きもある。
ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏は、ロイターに対し「市場の混乱は何かが間違っていることを示唆している可能性がある。たとえ不合理だとしても実際に影響が及ぶ可能性がある。今起きていることは、過剰な楽観主義は間違っているというメッセージだ」と指摘。
「米連邦準備理事会(FRB)は分かっていない。世界の状況が良くない中、FRBは利上げし、ブラジルも利上げした。中銀は市場よりも現実とずれていることがよくある」と語った。
また、英防衛大手BAEシステムズ<BAES.L>のロジャー・カー会長は「昨年のダボス会議のころはまだ状況は良かった。議題は貧富の問題で、誰もが富を失っていくのかという問題ではなかった」と述べ、「今は非常に悲観的なムードが広がっている」と話した。
健全な調整
しかし、中国の景気減速については、バークレイズのボブ・ダイヤモンド元最高経営責任者(CEO)らバンカーが「健全な調整」だとし、深刻であるものの、必要なプロセスとの見方を示す。
ダイヤモンド氏は記者団に対し、今の状況は米経済が回復しつつあり、西欧の状況も良く、08年第4・四半期や09年第1・四半期の「これまでで最も深刻な経済調整」とは比べものにならないと述べた。
上海にある中欧国際工商学院の丁遠教授も、人民元や中国の主要株価指数の下落を中国経済の健全性を示す指標だと受け止めるのは間違いだと指摘。
「これらは短期的なボラティリティーだ。市場は短期間に注目し過ぎ。今後2カ月といった短期ではなく、今後5年といった期間を見通すべきだ」と語った。
(Kirsten Donovan記者、Elizabeth Piper記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)
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