シャープ、堺・大型液晶パネル新工場の前倒し稼働の勝算は?

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 新工場は、ガラス投入枚数=月3.6万枚で立ち上げるが、それでも面積ベースでの生産キャパは亀山第二工場単独に比べて6割増す。今回のパネル需要回復が一時的なもので終わる、あるいは、大口購入先として期待されるソニーとの合弁化が破談に至った場合には、再び過剰設備に陥り、新工場の投資回収シナリオは根底から崩れる。

また、シャープは同日、前2009年3月期の業績見通しを再度下方修正し、営業赤字幅は従来予想の300億円から600億円へ、最終赤字は同1000億円から1300億円に膨らむと発表した。液晶テレビや液晶パネルの流通在庫削減に伴う費用がかさんだうえ、株式評価損も想定より膨らんだため。

会社側の再減額を受け、「東経オンライン」も前期、今10年3月期の業績予想を表記のように修正する。今期の業績を考えるうえで、3月末までの在庫調整進捗と、足下のパネル需要回復はプラス材料だ。また、今期は役員報酬や管理職の給与カット、新規投資の圧縮等による1000億円の固定費削減効果も寄与する。

ただし、パネル需要回復を牽引する中国テレビメーカー向けは特に単価の安い小型サイズが中心で、工場の操業度が上がっても液晶事業の急激な収益回復は期待しづらい。また、自社の液晶テレビ事業は引き続き欧米等の海外で構造的な赤字が続こう。

こうした不安材料も加味し、「東経オンライン」では今期の営業黒字化は難しいと見ている。

(渡辺 清治)



《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2008.03  3,417,736 183,692 168,399 101,922
連本2009.03予 2,850,000 -60,000 -90,000 -130,000
連本2010.03予 2,550,000 -20,000 -40,000 -40,000
連中2008.09  1,562,427 50,759 37,548 28,011
連中2009.09予 1,250,000 -20,000 -33,000 -40,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2008.03  93.2 28 
連本2009.03予 -118.1 21 
連本2010.03予 -36.3 14-21 
連中2008.09  25.5 14 
連中2009.09予 -36.3 7-10 

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