フェラーリの中古価格があまり落ちないワケ 「業界の常識」が通用しない相場がつくられる
フェラーリF430発売の頃はITバブルの時期でもあり、車両価格の高騰にも関わらず注文が殺到した。納車は2年待ちとも3年待ちともいわれた。常識的に考えて3年も待てば普通のクルマであれば次のモデルが出てもおかしくない期間であり、どうしても手に入れたい顧客は中古車ショップやブローカーに割高でもよいのですぐに持ってくるようにと申し入れるから、ショップの買値も急上昇する。そんなワケでフェラーリでは特別な限定車でなくても、新車より中古車が高いという現象も起こりうる。
最新のフェラーリを乗り続けるうまいカラクリ
一般的に自動車ディーラーのマージンは本体価格の15%くらいであるといわれるから、いくら車両価格が高くても、日本全国で売れるフェラーリが年間500台前後であるとすると、新車販売だけではビジネスとして厳しい。
今やクルマのメインテナンスや中古車販売といったアフターセールス部門でディーラーは利益構造を作るのが常識となっている。458イタリアが旬となれば、いいタマの争奪戦となる。売り物がなければ万事休すだ。そんなこともあり、なおさらリセールバリューの維持は重要な要素だ。
元々、値落ちが少ないフェラーリをうまいタイミングで下取りに出していけば、一般の人が想像するよりはるかに少ない出費でニューモデルに買い換えていくことができる。そうやって賢く最新のフェラーリを所有し続けるオーナーがいるのだ。フェラーリを所有するという目標に向けてのモチベーションの鼓舞や、所有することによる満足感など、精神的な支えともなってくれるとしたらそれは悪くないという判断もできるだろう。
このところフェラーリはモデルチェンジの周期はかつてより早いものの、年間の販売数量は限定し希少性をさらに高めるブランディング戦略を採っている。だからこそ、中古価格があまり落ちないという図式も成り立つ。もちろんその背景にはフェラーリのF1における話題性や「フェラーリの旧車が「億円単位」で売れる理由」(1月12日配信)でも触れたクラシックカー戦略が存在する。このリセールバリューを維持する為に彼らは他面的な取り組みを行い涙ぐましい努力をしている。
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