「地頭のいい子」は家庭内の習慣で作られる! 「アクティブ・ラーニング」は親子でもできる

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はじめは親御さんが、上記のような発話で誘導してあげるといいでしょう。ただし、忘れてはならないことは、答えたお子さんの答えに対して「違うでしょう。そうじゃなくて……」などと言ってはいけません。もう二度と子どもさんは答えなります。「なるほどね」と軽く返してあげるのがよいでしょう。

第2段階:「事実を分析することを知る」

観察眼を持つことができてきたら、次に、

「なぜそうなっているのかな?」「要するにどういうことなのかな?」

と聞いてあげましょう。すると、分析し、まとめる力がつきます。

「駅から見える看板で、何色の看板がいちばん多いかな?」と質問したあとに、お子さんが「ん~、黄色や赤色も結構あるけど、青がいちばん多い」と答えたとしましょう。そうしたら次のように聞いてあげましょう。
「なぜ、青が多いのかな。青を使っているところはなぜ赤色や黄色を使わないのかな?」

こう問われると、人はハッとして考えだすのです。この問いには、別に答えがあるわけではありません。「考えて分析すること」に意味があるのです。観察眼の段階とは違った部分の頭を使い「事実を分析する力」をつけることができるようになっていきます。

結果的に、偏差値まで上がることも多い

さらにこの後には、

第3段階:「自分の意見を言う」(自分ならどうするかなどを考える。意見には正解、不正解はないことも学ぶ)
第4段階:「ほかの人はどういう意見があるのかな?」(人の立場に立つことを学ぶ)

が続きます。しかし、一気にそこまで目指すと挫折してしまうかもしれないので、まずは基本の段階として、「観察眼を鍛え、分析できる癖」がつけられるといいでしょう。物事に積極的で主体的な性質が作られていきます。

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このようにして日常生活の一部でも「学びの生活」に変えることができれば、子どもはさまざまなことに興味関心がわき、勉強もやらねばならないことから、自分のための学びへとと変わっていくことでしょう。

この「学び」ということが理解できるとと、いわゆる「頭のよい子」になっていきます。ここでいう「頭がよい」の意味は、偏差値が高いということではなく、「地頭がよい人」という意味です。

日常生活で日々トレーニングしていると、自然と「強い地頭」ができていきます。勉強の時間だけ、知識を習得する、パターンを頭に叩き込む訓練をしている人とは、根本的に異なってくるのです。

さらに、この「学び」型の人は、副産物を得ることができます。それは、いわゆる「勉強」もできるようになっていくということです。要するに偏差値も上がりだす可能性が高いのです。

確かに知識の叩き込み、パターントレーニングでも偏差値は上がります。しかし、「学び」型の人は「学び」のプロセスを重視していく中で、結果として偏差値まで上げてしまうのです。どちらかといえば、「学び」型で偏差値も上がった方が、一生の財産になるという気がしませんか?流行りものに見えるアクティブ・ラーニングですが、その効果は大きいと思いますので、ぜひご家庭で取り入れてみてください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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