ブリヂストン「疲れにくいタイヤ」の秘密 プレイズブランドで渾身の新商品を投入

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ブリヂストンでは、この新商品を「疲れにくいタイヤ」にするために、ドライバーのあらゆる負担軽減を図っている。まずは直進時には、左右へのふらつきを修正するハンドル操作がストレスにならないように、このブレを少なくした。

「プレイズシリーズ」のタイヤ。運転時のドライバーのあらゆるストレスを分析し、疲れにくいタイヤを開発した

カーブの際にも、ハンドリングのふらつきを抑え、少ない操作で済むようにした。車線変更時のストレスなども抑えている。

それだけではない、花王と共同開発した特殊な素材を利用するなどで、低燃費と寿命を両立させることにも成功しているのだ。

今回発売するのは、セダン・クーペ向け、ミニバン向け、軽自動車などコンパクトカー向けの3種類だが、それぞれカスタマイズがなされている。

たとえばミニバン向けの場合、大勢の人が乗るために車重が重くなり、コーナリング時のふらつきが大きい。また、重さによってタイヤが傾きがちで、特に内側が多く使われる傾向がある。そこで、タイヤの内側部分の剛性を極端に上げた。「ティアドロップスロット」と呼ばれる小さな穴をいくつもあけることで、乗り心地も維持している。

「疲れにくさ」は実験で実証

一方、町乗りが多い軽自動車などのコンパクトカーの場合、小回り、据え切り(停止した状態でハンドルを切る)が多く、偏摩耗(均等に摩耗しないこと)しやすい特徴がある。こうした点に着目し、タイヤの内側と外側の剛性を高めた。従来品と同等の寿命を維持しつつ、耐偏摩耗性を3割以上向上できたという。

最も大きなセールスが期待されるのはこのコンパクト向けだ。新車販売において軽自動車の割合が4割を超える日本市場の現状を考えれば、ここに期待することになるのだろう。

ブリヂストンはこうした開発の効果を検証するため、脳波研究を行う慶応大学理工学部の満倉靖恵准教授に依頼し、20代から50代のドライバーによる実験を行った。すると、すべての被験者で従来品よりストレス値が下がる傾向が見られ「疲れにくいタイヤである」との結果を得ることができたという。

ブリヂストンの本気がうかがえる新型プレイズ。細かな操作が想定される自動運転も意識した戦略商品なだけに、ぜひとも成功に導きたいところだ。ドライバーはもちろん、ヒットによって一連の買収合戦に疲れたブリヂストンも癒すことができるだろうか。

山内 哲夫 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事