ベトナム人の死と外国人収容所の過酷な実態

収容者が見た壮絶な最期

牛久収容所を定期的に訪れている山村淳平医師は、グエンさんが死亡した3日後に2人の収容者にヒアリングした結果、グエンさんの健康問題は3月18日ごろには明らかだったと結論付けた。

2人の収容者によれば、グエンさんは最後の日をずっと叫んで過ごしていた。そして、19時ごろにグエンさんの部屋から音がしなくなった。山村医師はこのときには、グエンさんは死亡していたと見る。一方、牛久収容所の発表によると、救急搬送先の病院がグエンさんの死亡を確認したのは25日2時20分。山村医師は、22時時点ではなく、1時まで救急車を呼ばなかったことを疑問視している。

山村医師は収容所で過去に起きた死亡例も含めて、外国人収容所には4つの問題があると指摘している。それは、①収容者の容態が悪化しても、適切な病院に搬送することを拒否すること、②収容者の容態が著しく悪化しても反応を示さないこと、③救急車を呼ぶのが遅いこと、④入国管理局の医療体制が整っていないこと――である。

「現時点で処遇に問題はなかった」

今回のグエンさんが死亡したことについて、牛久センターの北村晃彦所長(当時、4月1日付けで高松入管に異動)は「現時点で処遇に問題はなかった」とコメントしている。

4月17日、弁護士やNGOなどの代表団が牛久の収容所で職員と面会した。この件に詳しい関係者によると、職員は責任について回答・説明することを拒否した。また、極めて重要な実際の死亡時刻は示さず、病院が発表した死亡時刻を伝えただけだった。

今回の対応について、改めて入管に聞いたところ、「特段問題はなかった」と回答。ただ「入管だけでなく、第三者の医師の意見を聞きながら対応について検証は行っている」としている。また、「4月からはこれまで働いていた非常勤の医師に加えて、1人常勤の医師が働くようになった」。ただし、土日診療は依然行っていないという。

収容所の生活環境についてはこれまで幅広く報道されてきている。が、収容者を監視する適切な体制はいまだ確立していない。20人の委員からなる「入国者収容所等視察委員会」は存在するが、任命は法務省が行い、委員名も明かされていない。

グエンさんが亡くなったことも引き金になったのかもしれないが、東京や名古屋で大規模なハンストが起こった背景には、収容期間の長期化や再収容が増えていることがあると、「仮放免者の会」を率いる宮廻満事務局長は指摘する。

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